まみ めも

つむじまがりといわれます

駅 STATION

金曜は雨。「地図を夢みる」のたとえば雨の午後、のページをひらいてグザヴィエ・ド・メーストル「わが部屋をめぐる旅」から読み始める、たった11ページなのにいったりきたりで延々と読んでしまう。文字のインプットも、頭のなかで音がなっている感じも、その音が指先に反応する感じも、あるのに、意味だけがついてこない。そういえばいつからなのか、文字のひとつひとつに対して指先がピクンとする。実際にピクンと動くわけではないけれど、ピクンとする感覚だけが宿る。それは日本語のせいなのか、キーボードのせいなのかわからない。なんとなく楽器を鳴らすように頭のなかの音に指先が反応していて、こういうとき、シナプスはどんなふうに発光するのだろう。本を読むのをあきらめ、湯をわかしてネスカフェをマグカップにたっぷりいれ、ラジオもうるさいような気がして、曽我部恵一ランデヴーバンドの「おはよう」のCDをかけてぼんやり過ごした。ビロードのような肌ざわりで半分死んだような午後。

駅 STATION[東宝DVD名作セレクション]

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プレミアムシネマの録画。

オリンピックの射撃選手でもある刑事と3人の女性の宿命的出会いと別れを3部構成で描いた人間ドラマ。1967年。警察官の英次は過酷な仕事とオリンピックの射撃選手として練習が続いたことが原因で妻・直子と離婚した……。1976年。オリンピック強化コーチのかたわら、連続通り魔を追う英次。犯人として浮かんだ吉松五郎を捕まえるため、妹のすず子の尾行を開始する……。1979年。故郷の雄冬に帰る英次だったが、連絡船が欠航となったため仕方なく居酒屋“桐子”に入る……。

高倉健の無口な骨太さが相変わらずで、やっぱり高倉健にはこういう役が一番似合う。大事なことも、大事でないことも、なにもかもを飲み込んで、腹のなかにいれたまんま、立ち去っていく。ダンチョネ。