まみ めも

つむじまがりといわれます

遠い野ばらの村

年明け早々仕事でポカをしてしまった。集中力がなくがさつでめんどくさがり、どう考えても社会生活に向いていないのだけれど、だからといって家庭生活に向いているとも思えず、なにに向いているのかということに思いをいたすとなんの役にも立たないことにあらためて愕然とする。そのうえ社交性にも乏しいのだった、わたしは貝になりたい。

遠い野ばらの村―童話集 (1981年)

遠い野ばらの村―童話集 (1981年)

ト。

現実と異世界の見えない仕切りをまたいでしまった人間たちのふしぎな物語。表題作のほか、「初雪のふる日」「ひぐれのお客」「海の館のひらめ」など、全9編の短編を収録。
谷間の小さな村で雑貨屋をひらいているおばあさんは、お客さんや問屋のおじさんに空想の息子や孫の話をします。何度も話しているうちに、おばあさんの目には、いつか本当に孫娘の姿が見えるようになって…。「遠い野ばらの村」をはじめ、全部で9編のふしぎなお話が入っています。
遠い野ばらの村 p9-34
初雪のふる日 p35-47
ひぐれのお客 p49-64
海の館のひらめ p65-94
ふしぎなシャベル p95-112
猫の結婚式 p113-134
秘密の発電所 p135-150
野の果ての国 p151-175
エプロンをかけためんどり p177-220

「猫の本棚」にとりあげられていた「猫の結婚式」が読みたくなって予約。だしのにおいのする和製童話で「エプロンをかけためんどり」がとてもよかった。母を亡くした家族のもとにむかし飼っていためんどりがおてんとさまの国から戻ってきて、おかゆにたまご焼き(もちろんたまごは自前で、健気にも土間のすみにいってうみおとす)、ねぎのみそしるの朝食をつくってくれる。そのほかにも小なすを塩漬けにしたり、豆を煮たり、干し物を焼いたり、かきもちを焼いたり、いちいち素朴であたたかなお品書きに、おかあさん!と呼んでしまいたくなるめんどりだ。押入れの奥で魔法もみせてくれる。そんなめんどりさんをあたらしいおかあさんの婚礼のごちそうにしてしまうというトンデモな展開をみせ、苦く淡くすっきりとした本当によいおはなしだった。