まみ めも

つむじまがりといわれます

つきよに

浦和に戻ってから疲れが出て家族が順々に体調を崩し、なんとなくこちらまでぼうっとしてやわらかいうどんばかり啜っている。一度だけ、おとうさんが夢に出てきた。その日は昼間から眠くてねむくて、夜、ベッドでうとうととしたときに、寝床に並べて敷いた布団におとうさんがいて、みんながいて、おいでといわれて布団に潜り込んで、そのときに、あっおとうさん死んだんだとひらめいた一瞬で、目が覚めてしまった。おとうさん、若いときの元気な姿だった。そのまま暗がりでたらたら泣いた。おかあさんは、おとうさんに死んだら幽霊になって出てきてくれと頼んであるというのに、まだ出ないと嘆いている。夢のなかのおとうさんに伝えてあげたらよかった。

亡くなる前日は、すこしだけ加減がよかったらしい。まぶたを閉じられなくなって乾燥しないように目薬や軟膏をしているのに、涙がにじんでいて、どうしたのときくと、家族が気がかりで泣いているといったらしい。スピッツの歌を一緒にきいたといっていた。

週末、近くの公園の中の美術館のミュージアムショップでイヌワシのブローチを買った。繊細にかたどられたアクリルの透明に鮮やかな彩色がされて、おはなしがはじまりそう。早川鉄兵という切り絵作家の作品。

つきよに [教科書にでてくる日本の名作童話(第1期)]

つきよに [教科書にでてくる日本の名作童話(第1期)]

 

ト。

つきよに、ねずみの子どもが、ふしぎなものをひろいました。白くて、四角くて、いいにおいのするものでした。ねずみの家のなかは花のにおいでいっぱいになりました。表題作のほか、短編4編を収録。

つきよに p5-8
やさしいたんぽぽ p9-18
青い花 p19-40
きつねの窓 p41-62
ひぐれのお客 p63-85

安房直子のおはなしに、南塚直子の絵。ふたりの直子の世界がとにかくゆかしくて、世界のことを何にも知らないゆりかごのころに帰ってゆくようだ。