仕事をはじめたときに教育係としてついてくれた先輩が四月で配置替えになり、送別会があった。久しぶりに会うのでうきうきし、朝は口紅でもつけようかとおもったけれど、送別会のときにはとれてしまうし浮かれすぎのような気がしてよした。すこし前に家族で出かけるときに口紅をしてみたら、こどもたちが「おかあちゃんがお化粧してる!」とものすごく盛り上がり、おかあちゃんめっちゃびじん!!やった!!と祭りのように騒ぎ立てるのでそのときは結局口紅をふき取ってしまった。口紅を自然につけるようになるにはどれだけ場数を踏めばよいのやら。お世話になった先輩にはお茶を贈った。
- 作者: 安房直子,味戸ケイコ
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 1983/08/15
- メディア: 単行本
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秋の夕方、信は同じ年くらいの女の子が、オレンジ色の自転車に乗って走っているのを見た。信を追い抜きながら「こんにちは」と言う。何度か出会った。その度に花のにおいがただよった。ある日、自転車であとをつけてみた。
「小鳥とばら」
「黄色いスカーフ」
「花のにおう町」
「ふしぎな文房具屋」
「秋の音」
「ききょうの娘」
安房直子は「遠い野ばらの村」ぶり。もったいないような切ないようなお話たち。瞬間を切りとることばが繊細に胸をふるわせてくれる。安房直子のひとみを借りて、世界が澄んでくる。