まみ めも

つむじまがりといわれます

夜想曲集

定点観測の白梅のつぼみがひらいたのは、今年は一月九日だった。この梅が咲くのが、春の始まりだと思っていて、木蓮が咲くと春の始まりが終わる。梅から木蓮までのあいだは春が待ち遠しいけれど、そこを過ぎるとなんとなくアンニュイになってしまうのはなぜなのかよくわからない。桜になると開花のタイミングと空模様、週末にうまいこと花見がやれるかどうかという俗な気持ちが混ざってしまって、春の到来に純粋に想いを寄せることができないでいる。
白梅の記録
2012/1/31
2013/1/28
2014/1/21
2015/1/13
2016/1/11
2017/1/4
2018/1/9

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)

年越し本は鎌倉の書斎から拝借したカズオ・イシグロの短編集。

ベネチアサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅を描いた「老歌手」をはじめ、切なくロマンチックな調べを奏でる5つの連作短篇集。
老歌手 p9-52
降っても晴れても p53-123
モールバンヒルズ p125-174
夜想曲 p175-258
チェリスト p259-306

「老歌手」の一人称が「わし」なことに馴染めないのを発端に、話に入り込めないまま終わってしまった。カズオ・イシグロの話の中に金玉鋸挽きの刑なんて単語が出てくるとは。金玉だけでもおののくのにその金玉をあろうことか鋸で。ないはずの金玉が縮みあがるおもいがする。金玉という単語を出さずにぶらんこと歌い上げたのどかな室生犀星との対比ったらない。