ときがくれば終わる、という感じでぎりぎり進行でしのいでいた仕事をなんとか納めることができ、すこし早く休みをもらってこども三人を連れて満席の新幹線で実家に帰ってきた。ら、翌々日にふみちゃんが高熱を出した。インフルエンザの検査を受けられるのは発症から一日たってからで、急病外来しかあいていない日曜日。電話はなんべんかけても話し中でつながらない。毛布でくるんで連れていき、次々に患者のくるのを眺めながら順番待ちをし、インフルエンザだったので薬をもらい、どこかにいく予定と人に会う予定はすべてキャンセルになった。ふだんあんまり体調をくずさないふみちゃんは不安でたまらないらしく、ときどき涙を流したりうなされたりしながらしんどそうにしている。手や背中をさすったり足をもんだりしていると、おかあちゃんありがとう、という。うっすらとした気持ち悪さをビールでごまかしながら、自分やほかの誰かが発症しないことを祈る。
卜。
身勝手な親から逃れ、姉妹で生きることに決めた18歳の理佐と8歳の律。たどり着いた町で出会った、しゃべる鳥<ネネ>に見守られ、人生が変転し…。人々が織りなす希望と再生の物語。
人のよいところを信じてみたくなるような、祈りの力に満ちたお話だった。