まみ めも

つむじまがりといわれます

猫だつて夢を見る

桜が散り始めると地に足がついた感じがして少しほっとする。この世が桃源郷になり、なにかとのトンネルが通じてしまうような短い魔法がとける。

ふみちゃんがぴかぴかの一年生になり、初日のお弁当を四時半起きでこしらえる。リクエストのお品書きを書いてもらった。

たまごやき

ききん(チキン)

おにぎりしよ(塩)にのりこんぶ

こ〜ん

みにとまと♡

てのひらに載るサイズのお弁当箱におかずを詰めて、いってらっしゃいのメモを添えて仕事に出た。ともだちしゃくにんほしいと手紙に書いていたふみちゃん、さっそくお友だちができた模様。おかあちゃんは新しい部署でくたくたの一年生。

古本いちで購入。細かいことだけれど単行本が猫「だって」夢を見るで登録されている。丸谷才一が知ったらどんな顔をするだろう。

中年男はなぜセーラー服を好むのか、宮本武蔵は大変な見栄っぱりだった、文芸春秋社長と専務の若き日のマル秘エピソードなどよりすぐりの名品36篇。

丸谷才一の文章は、とにかく読んでいて心地よい。序文にある「哀れである」なんてひと言がいちいちたまらない。

ショージ君の「料理大好き!」

同僚が送別会をひらいてくれた。名ばかりデザイナーズの雑居ビルで、肉の枚数が絶妙に割り切れない数でサーブされるので、最後の最後に殴り合いになるかと思った。ビールをたらふく飲んだ。

古本いちで見つけたショージ君。

空腹時には読むべからず!

カツオのたたきならぬ「たたかず」、鉄火丼ならぬ「銀火丼」、「贋北京ダック」など、ユニークな料理の作り方をイラスト入りで紹介!

・カツオのたたきの巻
・三分クッキングの巻
・うなぎの巻
・本格カレーの巻
・餃子の巻
・ロースト・ビーフの巻
・うどんすきの巻
・塩鮭一本の巻
・ちくわ・かまぼこ・はんぺん・さつま揚げの巻
・にぎり鮨の巻
・炒飯の巻
・行楽弁当の巻
かき揚げ丼の巻
冷し中華の巻
・アナゴの巻
・豆腐の巻
・スパゲッティの巻
・サバ鮨の巻
・料理教室の巻
・オムレツの巻
・贋北京ダックの巻
・手造りソーセージの巻
・焼鳥の巻
・ラーメンの巻

表紙のショージ君、鍋の前で腰に手をあてている。杏ちゃんもやっていた。ザ・ファブルのヨーコが鍋の前に立つポーズもこなれていていい。

ラモーナ、明日へ

ふみちゃんの卒園式があった。自分でお気に入りの洋服をえらび、コーディネートをして、両手で♡のマークを作って首を傾げて写真におさまっている。二歳くらいのときは物静かで、自転車のうしろに乗せたはずなのにうんともすんとも言わないでだんまりしているので、ふみちゃん、ぎゅっとして、と声をかけると、背中から手を回してぎゅっとして返事をするような子だったのが、とてもよく喋るようになった。自分でも、だんまりうさぎがおしゃべりうさぎになったと言っている。

桜が咲いて、あたたかいような、薄寒いような、あわいの季節にはものごとの境目がぼんやりとする。

ト。

4年生になり、つづりの勉強に四苦八苦のラモーナ。求めていた親友との出会い、ちょっぴり初恋も…。「ゆかいなヘンリーくん」シリーズの作者が贈る、愛すべき女の子の物語、最終章。

約半世紀をかけてベバリイ・クリアリーが綴ったヘンリーくんシリーズの最後のお話。終わらないでほしいような楽しみなようなないまぜの気持ちを、訳者の松岡享子もあとがきに記している。ふみちゃんやげんちゃんとも一緒にまたこのシリーズを読めたらと思う。

人生最後のご馳走

寒、戻りすぎ。三角公園の桜の蕾がひらいてきたと思ったら、雪が舞った。ひょんなことからテレビの取材を受けることになり、カメラが家までやってきた。げんちゃん、びっくりしてしばらく大泣きしたけれど、レーズンをつまんで動画をつけたらソファにごろんと寝そべっておとなしくなった。みんなどことなくよそよそしさを纏っているところを撮られ、げんちゃんだけが自然体だったとあとから思う。卵七個ぶんの立派な玉子焼きをせいちゃんが焼いた。

ト。

大阪市にある淀川キリスト教病院ホスピスこどもホスピス病院が、最後の時を過ごす患者の心のケアとして始めた「リクエスト食」。週一回患者が食べたいと希望するものを何でもかなえるこの取り組みについて紹介する。

人生の最後に限りなく近い人たちのごはん。とても丁寧につくられていることが伝わる。こんなふうに、おとうさんの食べたいものを聞いてつくってあげられたらよかったなあ。

バラバラの名前

庭先に植えたいちごの苗が冬を越して白い花をつけたところでお雛様をしまった。桜が少しずつ咲きはじめている。自転車を漕いでスーパーに向かうときに、前をいくふーたんが、あ、と自転車を止めて、ちょっとまって、と歩道のわきに咲いたたんぽぽを摘んで、ポシェットにしまう。たんぽぽを見つけるたびに声をあげて立ち止まり、またみつけちゃった、と最後はきゃはきゃは笑っていた。持ち帰ったたんぽぽは、豆皿に水を張って浮かべてみたけれど、日の入りとともに花を閉じてしまって頑なに開かない。綿毛になるのを待つことにした。

エフ本。

バラバラの名前 p7-38

一攫千金人生 p39-68

配分王 p69-96

新作落語 p97-120

モットー選定会議 p121-148

インタビュー p149-178

渋滞原論 p179-206

旧石器の男 p207-235

配分王といえば泉昌之の「夜行」が必読。弁当のペース配分に必死な人たちが好きすぎる。

ラモーナとあたらしい家族

異動はお昼休みの真っ只中にオンラインで発表になるので、デスクに座って人知れずソワソワしていたのだけれど、結局だれも昼休みのうちには気がつかなかった。昼休みのあとで声をかけられたときに、どういう表情をしたらよいのかわからずににやついてしまう。異動先はひとつ上のフロアで、挨拶がてら遊びにいくとおやつが用意されてコーヒーを淹れてくれるのだった。どうやら慢性的なマンパワー不足で、ものすごく期待されているらしい。期待にこたえられる自信はあまりない。

ト。

ハーウィのおじさんとラモーナのおばさんが結婚することに。ラモーナは結婚式の準備で大わらわ。でも、お父さんとお母さんの様子がおかしくて…。「ゆかいなヘンリーくん」シリーズの作者が贈る、愛すべき女の子の物語。

ラモーナが訳がわかるようになっていくのが、いとしい。ゆかいなヘンリーくんのシリーズはすべてのこどもたちへの祝福に満ちている。

死まで139歩

ワクチンの副反応とげんちゃんのお熱が重なって週明けからくたくたになった。カロナールをレオンのゲイリー・オールドマン風にキメたけれど、身の置きどころのない節々のだるさで冴えない半日を過ごした。熱が下がったふたりで散歩に出て帰ったら、上の子たちが野の花を集めたブーケをプレゼントしてくれた。

昨晩はゆさゆさと家が揺れて湯船のお湯がたぷたぷと波打ったけれど、家の中には大きな被害はなく子どもらは誰も起きなかった。

ト。

ツイスト博士のもとに舞い込んだふたつの事件には「しゃがれ声」の怪人が登場する共通点があった。調査に乗り出した博士は、郊外の異様な屋敷へとたどり着く。そして、埋葬されたはずの屋敷の主人の死体が密室の中に出現し…。

法月綸太郎の解説がすごくよくて、ミステリーでありファンタジーのようなお話だった。歩き屋っていうのがいかにも法螺吹きめいて、ありそうでなさそうなところがたまらない。