まみ めも

つむじまがりといわれます

おすもうさんのおしり

おすもうさんのおしり (福武文庫)

おすもうさんのおしり (福武文庫)

なんたって国技大相撲 東海林さだお
大相撲は国技なり見るなら食うな食うなら見るな 群ようこ
内館流大相撲観戦法 内館牧子
大相撲トーナメント 小田嶋隆
お相撲見物 林真理子
相撲 黒柳徹子
下町と相撲は相性がいい 川本三郎
朝潮太郎への手紙 中上健次
僕のミーハー的北の湖恋歌 村上龍
千代の富士もカッコイイけど親方もカッコイイ ねじめ正一
横綱の風格 陳舜臣
忘却の土俵入り 寺山修司
四股名考 井上ひさし
奇妙なワシ 沢木耕太郎
相撲 中島らも
小錦若乃花 ナンシー関
大乃国さまハラハラ日記 中野翠
蔵前国技館の洞穴 泉麻人
若嶋津どうした 色川武大
「日日雑記」より 武田百合子
大乃国小錦様安芸ノ島様 里中満智子ほか
八〇年代の大相撲 藤原新也
隠喩としての“若貴” 島田雅彦
北の湖断髪の日 村松友視
貴ノ花の影響 長部日出雄
相撲なんてこれまでろくろく見向きもしなかったのが、一年ほどまえからテレビで見るようになったらにわかに面白く映りだした。なんたって異形ともいえる巨漢がまわし一丁裸でぶつかり合う。スローで再生すると肉がぶるぶる震えている。技やらしきたりやらわからんでもそれだけで胸がわくわくする。そこにはちょっとした気味悪さもまじっている。それで、ブックオフオンラインで相撲アンソロジーをみつけて一も二もなく買った。百円。五月場所の開催を待って読み始めたが、中日を迎えるまえに読み終わってしまった。あんな人やこんな人が相撲についてあれこれ語っていていかにもたのしい一冊。たとえば中上健次阪神朝潮が勝った日には「鼻唄まじりでルンルンで」原稿を書いているというのなんか、中上健次のセックスもドラッグもござれのじっとりした小説世界とルンルンという擬態語がまったく相入れなくてわらってしまう。黒柳徹子の文章がおもしろくて、あの、徹子の部屋でのトークさながら息遣いのみえる句読点がビートを刻んでいて、気に入った。あとは、北の湖が、勝ったときは飲まない、負けたときに飲む、恥ずかしいから下向いて飲む、なんていっていたり、お相撲さんが金柑をむいて食べているとおもったら蜜柑だった、という話だったり、贔屓の力士が花道をさがるときに汗をかいた背中にお札を貼り付けた女の話、どれも屈託がなくっていい。あとがきで泉麻人が、おりしも貴乃花宮沢りえの婚約が発表された、船上デートのカラオケでチャゲアスを歌っていた、と書いていて、出版の時日にはもう破局の危機なんであった。ものすごいタイミング。
夏場所白鵬が三連敗を喫し、白鵬贔屓のわたしとしては心穏やかでない。白鵬はなんたってかっこいい。白い肌がつやつやとし、柔らかそうなのに締まりがあって、無駄がない感じがする。つよくなければならんという横綱の緊張感がからだのなかに満ちているみたい。でもって、毎日昼寝を含め睡眠時間が16時間なんていうのをきくと、ようわからんが、すごいなあ、なんて、ときめいてしまう。そりゃ、16時間も寝るんだったらつよいはずにちがいないと妙な説得力。実物はよっぽど大きいんだろうなあ。これまで、スポーツ選手を何人か生でみたが、水道橋を駆け抜けた高橋尚子の走りがとんでもないスピードだったり、渋谷ですれちがった大林素子が尋常でなくでかかったり、あるいは浦和をジャージーで歩いていた香川真司がまったくオーラがなかったり、したのだが、オーラがないというのですら、一流のスポーツ選手には夢があるよなあとおもう。