ごみを、少なくするようにと考えていて、野菜くずが出ないような料理を心がけているのだが、要は、野菜くずがでるのか、わたしの有機的なものがでるのかの違いに過ぎないのではないかと、気がついてしまった。エスカレーターやエレベーターも控えて、階段をのぼるが、体重の減らないところをみると、電気的なエネルギーに代替して消費されたわたしの運動エネルギーは、相応の食物によって補われているとみるのが妥当で、その食物を栽培し流通するのに消費されるエネルギーたちに思いを馳せると、結局はエネルギー保存の法則にいきつくような気がするので、あんまり考えないようにして、階段を昇降している。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/04/12
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田舎にいた当時、世間をしらなかったので、東京の人はトレンディドラマのような話し方をするのだと思っており、18の歳に上京してみたら、男が、〜だね、〜だよね、と話すのに、ものすごく脱力した気分になったものだったが、いまは、〜だよね、と話すこどもをみずから育てているのだからわからない。うちの子らも、きっと地方からでてきた女の子を脱力させるシティボーイに育つのだろう。村上春樹の小説も、トレンディドラマのような架空さで、わたしは三十路もなかばになってようやくエンターテイメントとしてたのしめるようになった。エピソードだけが累積していく。それとも、わたしの知らない東京には、トレンディドラマのような恋や、村上春樹の小説にでてくるような男もいるのかもしれない。わたしには一切縁がなかったし、キムタクも青山も別世界のものたちだったが、かろうじて山下達郎を聴くのはゆるされているような気がして、キラキラしたもののおこぼれを頂戴している。