土曜日はお客があって、一緒にお昼をした。前日に、ゼラチンをふやかして、蟹缶帆立缶を汁ごとまぜてチンしたものにとかしこみ、アスパラガスと人参を配して流し込み、冷蔵庫にいれて、テリーヌをつくっておいた。見目はよかったが、潮のにおいがぷんぷんするので宿六と子どもには受けず。朝、トマトソースを煮込み、マカロニとしらすでマリナーラを作った。真っ赤なしらすとマカロニがお皿に盛り上がり、南方の密林でだされたらどこかから採取された寄生虫に空目しそうな代物だったが、味は子どもに受けて、フクちゃんは口のまわりをオリーブ油でぎらぎらにして食べ尽くしていた。あとは、スモークサーモンと、筋子をしょうゆ漬けにしてあったので、レモンとバルサミコ酢で酸味をつけて、パセリをまぶした洋風のちらし寿司、真鯛のカルパッチョ、さつまいものレモン煮。幼い子がいるので、なにを用意するか、実は行き当たりばったりだったし、余裕をうしない宿六と罵りあったりしたのだったが、なんとか形がついてよかった。おみやげに、だんごやどら焼をもらう。言問団子の包み紙の鳩がめんこいので捨てられない。夜、どら焼を食みながら、五十年後もおんなじようにおかずやおやつを一緒につまみたいなと思った。
- 作者: 平野レミ,和田誠,関原彰
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/08
- メディア: 単行本
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ダロカからまたつっ走る。めったにすれちがう車もない一本道。電信柱が並ぶほかは何もないところがあって、車を降りてみる。三六五度全部平原。家も木も山も何もない。「わーすごい」と私が言って、へっぴり腰で指をつき出して遠くを指しながら「だーーっ」とひと回りしたら、それが子どもに受けて「またやって」と言われる。何度もやった。そのたびに子どもたちは根こそぎ笑う。
ここのくだりがものすごくよくて、あー、平野レミがおかあさんだったら毎日おもしろいだろうなあ、でもめっぽう疲れるだろうなあ。レミさん、ヨーロッパの陽射しがすごいので、サングラスを重ねづけ、ハンカチを間にはさんだりしている。月光仮面みたいなレミさんを想像して、笑っちゃった。レミさんみたいなおばさんになりたいけど、ネアカの素質がないもんな。