家で仕事をはじめようとしたら庭師がトラックで乗りつけて、庭の木をとことん伐っていった。隣の敷地からのびていたさるすべりがばっさりやられて切り株になってしまった。うだるような夏の盛りにいつのまにか咲いて鮮やかな紅色が永遠のように長く続くこの木をとても好きだったことを改めて知り、唐突にやってきた別れに戸惑っている。
古本いちで110円。このときは村上春樹と村上龍のダブル村上を買った。
しんと静まりかえった心の中のいちばん深い場所で、たしかに、それは起こった-。小さな焚き火の炎のように、深い闇の中に光を放つ。『新潮』連載「地震のあとで」に書下ろし一篇を加えた初の連作小説。