まみ めも

つむじまがりといわれます

光る眼

混雑したエレベーターのなかで、となりの先輩が、前の女の人の肩に止まっている小さな虫をみつけて、あ、と声をあげた。先輩は、みんなが振り返るときには、そのちいさな虫をつまみあげていたが、それを横から眺めていた同期の男の子が、その虫、くさいっすよ、と言った。彼によると、名前もずばりクサムシというらしく、「洗ってもやばいかも」。目的の階について、窓をあけて、虫をリリース、指先のにおいをくんくんして、くさっ、と先輩は仰け反ったが、わたしは鼻づまりでなんも分からんかった。ちなみに、その同期はイケメンの呼び声高い男子なのだが、いかんせんイケメン受容体が正常でないらしいわたしにはなんということもなかったが、今回、なんでそんな虫知ってんのときいたときに、ぶっきらぼうに、虫が好きなんだよと照れ臭そうにしたのはよかった。そのあとで、くさくなった指先に思いを巡らし、触れたものににおいがうつって残っていくというのを思ったら、ちょっとときめいた。

宿六のライブラリより。あるとき、街じゅうの人が霊感に打たれたように倒れ、そのあと目を覚ますのだが、女という女がそろって孕み、うまれてきたこどもたちは光る眼を駆使するエスパーで、というお話。主役はスーパーマンクリストファー・リーブ。牧師役はルーク・スカイウォーカーマーク・ハミル。スーパーマンジェダイ・ナイトがエスパーと対決。クライマックス、エスパー・チルドレンたちとの対決の場面で、頭のなかを悟られないように、波や壁を必死に思い浮かべて思考をブロックしてたのは、ちょっとした禅業みたいだったな。いつか、坐禅する機会があったら、波や壁をイメージしよう。わたしが対決するのはエスパーではなくて煩悩だけど、ひょっとするとエスパーより厄介かもしれないぞ。