昨晩はうなぎを食べる会があって、いつもよりすこし長く働いて外に出たら陽が暮れていた。十五分だけ駅前のデパートにいき、まっくろの安い鞄を買った。斜めがけできて、弁当のジップロックが倒れないだけのまちがあり、粋でも野暮でもなく安ければいいと思っていたら、そんなようなのがあって、3990円だったので、たいして迷わなかった。うなぎ屋は、ますやという店で、ひろいお座敷にお膳が並べてあって、鯉のあらいやら天ぷらやらのあとでうな重がきて、瓶ビールに日本酒、気持ちよくなって二十分かけて歩いて帰る道の夜のつめたさが心地よい。明るいうちにはなんとなく聴く気になれないシャーデーの声が、夜の入り口でたゆたっている。家についたら、ちょうどこどもらが寝たところで、寝顔をのぞいてから残してあった湯につかり、こどもらの話をきいて、アイスクリームをたべた。フクちゃんが、誰もいない風呂場にむかって、カーチャンと呼んだりしたらしいが、特にさみしがることもなく、良い子にしたらしかった。夜明け前に、ねむりの浅くなったセイちゃんが、半分ねぼけながら、あ、おかあちゃんだ、おかえり、といって、頬をさわってきて、また寝た。
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