実家の猫が年明けに死んだ。どこかの軒先でうち捨てられたように薄汚くなっていた毛の塊を、母親がつれ帰ってきて、からまる毛を剃り、洗ったら、白いチンチラだった。いつもおなかがゆるく、くるくると喉を鳴らすような鳴き方をして、撫でられるくせに抱かれるのはいやがり、つかず離れずで甘える猫だった。もともと鈍重な猫だったが、年明けに階段を踏みはずしたり、いつも寝ていたソファにあがれなくなり、意を決したように固形物も水もとらなくなり、そのままあっさりいってしまった。もううちに来て十三年だったらしい。往生したのだと思う。
- 作者: 小学館辞典編集部
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/04/12
- メディア: 単行本
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