月曜の夕方、東の空をみていたら、オレンジのスーパームーンが岬の向こうからのぼってきた。満月を一日過ぎたはずだったが、まんまるなのか欠けているのか、わかるようなわからないような丸さが心に引っかかり、いつまでも眺めていたいような気がする。おなじ月だけれども、割増になっているとおもうと貧乏性には有難い。みんなが寝たあとで、お湯に浸かりにいったら、月は中空まであがり、その手前をくろぐろした雲がビュンビュン流れていく。奥にときおりのぞく月のまわりにはじっと動かない空の気配があって、その月をとりまく光の感じが、ゴッホの絵のタッチだった。
- 作者: 佐藤隆介,茂出木雅章,近藤文夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/03/28
- メディア: 文庫
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