まみ めも

つむじまがりといわれます

春の庭

土曜の朝、診察開始の9時より少しだけ早く病院にいって、二番の受付だった。診察が思ったより早く終わったので近くの公園で陽当たりのよいベンチを探して残り数ページだった本を読む。はさんであった新聞の記事にも目を通したら、9時半になったので、そばの美容室に入ってカットをお願いした。このあいだ郵便受けに手描きのものを印刷したチラシの入っていたお店で、病院のそばであるし、9時半からやっているので、ちょうどよかった。前の日の朝に相撲のニュースを見ていたときに、テレビの小窓にうつったアナウンサーの夏目三久ちゃんがかわいかったので、その写真をみせた。だいたいはカットが終わったあとで、夏目三久がかわいいのは顔がかわいいからなのであって、髪型だけ夏目三久になってもどうにもならんと気づかされるのだけれど、今回は、夏目三久にはもちろんならんかったが、似合う髪型にしてもらえたので、よかった。カットをしてくれたのは50代くらいの三人の男の子を育てたお母さんの人だったが、うちのあたりのチラシもその人が配ったらしい。うちのあたりを配ったときは、急にトイレにいきたくなって、あわてて走って帰りました、と話していて、かわいらしいおばさんだなあと思った。また来ますといって店を出た。ずいぶん短くしたので、首すじにスースー風を感じる。マフラーをぐるぐるに巻いた。

春の庭

春の庭

年始に鎌倉の山の家へいくので、そのときまでにと思って借りてきた本を少しずつ読んでいる。「春の庭」は芥川賞直木賞の作品にかならず目を通す義父のもので、新聞記事の切り抜きが何枚か挟まっている。切り抜きには、パノラマ写真に凝っていて、おなじ写真の中に時差があったり、うつる人々の本人たちの記憶にも残らないようなとりとめない瞬間がおもしろいというようなことが書いてあった。春の庭は、隣の家をめぐってアパート内の住人と交流をもつ話だけれど、結局はどこにもいかない、ということに尽きるかもしれない。