土曜の朝、診察開始の9時より少しだけ早く病院にいって、二番の受付だった。診察が思ったより早く終わったので近くの公園で陽当たりのよいベンチを探して残り数ページだった本を読む。はさんであった新聞の記事にも目を通したら、9時半になったので、そばの美容室に入ってカットをお願いした。このあいだ郵便受けに手描きのものを印刷したチラシの入っていたお店で、病院のそばであるし、9時半からやっているので、ちょうどよかった。前の日の朝に相撲のニュースを見ていたときに、テレビの小窓にうつったアナウンサーの夏目三久ちゃんがかわいかったので、その写真をみせた。だいたいはカットが終わったあとで、夏目三久がかわいいのは顔がかわいいからなのであって、髪型だけ夏目三久になってもどうにもならんと気づかされるのだけれど、今回は、夏目三久にはもちろんならんかったが、似合う髪型にしてもらえたので、よかった。カットをしてくれたのは50代くらいの三人の男の子を育てたお母さんの人だったが、うちのあたりのチラシもその人が配ったらしい。うちのあたりを配ったときは、急にトイレにいきたくなって、あわてて走って帰りました、と話していて、かわいらしいおばさんだなあと思った。また来ますといって店を出た。ずいぶん短くしたので、首すじにスースー風を感じる。マフラーをぐるぐるに巻いた。
- 作者: 柴崎友香
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/07/28
- メディア: ハードカバー
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