まみ めも

つむじまがりといわれます

日本すみずみ紀行

日曜の夕方は外にいたので、千秋楽の大相撲は録画予約をいれておく。ちょうど白鵬日馬富士の結びの一番をやっているときに金沢駅の駐車場を歩いていて、ふいに通りすがりの車のカーラジオから相撲の実況が耳にとびこんできて、どきっとしたが、聞き取れなくてすんだ。帰宅してからテレビをつけたら、気持ちが急いてしまって、早送り再生して、ちっとも落ち着いて見てられんかった。やっぱり生放送で見ないといかん。照ノ富士の優勝が決まったときはほっとした。照ノ富士は、相撲の取り口はふてぶてしいといわれていても、とてもチャーミングでがんばり屋なお相撲さんなので、これからもがんばってほしい。優勝の決まった瞬間、兄弟子の安美錦がニコッとした表情が忘れられない。宝富士がペプシ飲みながら優勝インタビューをきいているのもかわいかった。日馬富士も怪我のなか日馬富士らしい飛び込みの奇襲で本当にいい相撲をみせてくれた。伊勢ケ浜親方が優勝旗を渡したときの口もと、おめでとうのひと言にウルっとした。月曜はいそいそと近くのコンビニへいき、スポーツ新聞を買ってきてこどもたちと三人で頭を寄せて読んだ。また相撲が好きになっちゃったなあ。フクちゃんはその日「おすもうさんのちゃんこだよ」と緑やオレンジや紫のペンでカラフルな絵を描きなぐった。

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牛窓・御手洗
様似・広尾
城端
飛島・粟島
熊野
下北半島
甑島
佐川・外泊・宇和島・内子・大洲
石田温泉・銀婚湯温泉・五厘沢温泉
富山村
角館・五能線
地島牡鹿半島
川本町・大森・温泉津
柳川・佐賀平野
図書館本。いいタイトル。

山のあいだから海が見えてくる瞬間が好きだ。視界が急に開け、青い地平線が見えてくる。そのときはじめて、旅に来たんだなという感慨がわいてくる。―汽車に乗り、海や田圃を眺め、あまり観光とは縁のない小さな町や村をのんびりと歩く「ひとり旅」のエッセー集。

川本三郎は「文章の基本はあくまで『普通』でありたい。誰もが使っている普通の言葉で、誰も言わなかった普通ではないことを言う。文章の理想だと思う。」と書いている通り、スタイルもこだわりもないような文章でありながら温泉の中で足の指のあいだが広がるような心地よさがあって、読んでいて本当にストレスフリー。そんな川本三郎が日本のすみっこを丁寧に展いてくれるので、なんでもない町にでかけたくなる。柳川は福永武彦「廃市」のモデルとなった町らしい。いまだ読まない小説、いまだ見ない映画、いまだ訪れない町。そういうのが無数にあって、人生にはまだまだたのしみが残っているなと思った。それを教えてくれる川本三郎にはやっぱりどこまでもついていきたい。