冬至の朝はかぼちゃとゆで小豆でいとこ煮をつくった。こんなときは丸のままのかぼちゃがよいような気がして、こぶりのをひとつ、自転車のかごに載せて買ってきておいたのを使う。2/3を煮た。宅配便でゆずが届いたので、皮をむいて種を取り、半分ははちみつに漬けておく。のこり半分は湯舟にいれる。肌があれているのか、ゆずが全身にぴりぴりする。ゆずがこんなに攻撃的な果物だとは知らんかった。はちみつにつけるときに少ししゃぶったら、思ったよりもすっぱくて、汗ばんだ。夜は、なんだかねむれなくて、iPhoneの音量をしぼって、シャーデーをきいた。冬至の夜の帳が絹のようにしなやかに、つめたく、シャーデーの歌声と化繊の毛布とこどもたちの寝息にくるまれる、自分。一年で一番長い夜なので、夜更かししても朝にならず、そのうち眠った。
- 作者: アリステア・マクラウド,中野恵津子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/01/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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カナダ東端の厳冬の島で、犬、馬、鷲ら動物と共に、祖先の声に耳を澄ませながら、人生の時を刻む人々。人生の美しさと哀しみ、短編小説の気品に満ちた8編を収録。
1 すべてのものに季節がある
2 二度目の春
3 冬の犬
4 完璧なる調和
5 鳥が太陽を運んでくるように
6 幻影
7 島
8 クリアランス
クリスマス前の完璧なタイミング、こどもの眠る布団のわきでひっそりと読むのにぴったりな物語たち。遠い島の景色がひんやりと鮮やかにまぶたに浮かんで、静けさの奥に秘められたつよい気持ち。