まみ めも

つむじまがりといわれます

温泉天国

朝、起きしなに、お昼にもっていくパンにブルーチーズをはさもうとおもって、くるみ入りのかた焼きパンに包丁をあてていたら、あまりにかたいのでうまくやれずに指をざっくりいってしまった。最初はじわじわと、そのうちだらだらと血がとまらなくなり、朝の支度をしながらあちらこちらに血痕をたらしてしまった。ばんそうこうを二枚かさねたらようやくおさまったけれど、一日中じんじんした。昼はしかたないのでブルーチーズのないかた焼きパンを食べた、やっぱりかたくて、噛みちぎるときの表情はかなり鬼気迫るものがあったと思う。

ト。

「は〜、極楽、極楽」 みんな温泉につかって、名作が生まれた-。池内紀「湯のつかり方」、嵐山光三郎カムイワッカ湯の滝」から、池波正太郎「温泉で泳いだ話」、田山花袋「女の温泉」まで、32篇の温泉エッセイを収録。
湯のつかり方 池内 紀
カムイワッカ湯の滝−落下する滝、流れる川すべてが純ナマの温泉− 嵐山 光三郎
ぬる川の宿 吉川 英治
湯船のなかの布袋さん 四谷 シモン
花巻温泉 高村 光太郎
記憶−9800円×2− 角田 光代
川の温泉 柳 美里
美しき旅について 室生 犀星
草津温泉 横尾 忠則
伊香保のろ天風呂 山下 清
上諏訪・飯田 川本 三郎
村の温泉 平林 たい子
渋温泉の秋 小川 未明
増富温泉場 井伏 鱒二
美少女 太宰 治
浅草観音温泉 武田 百合子
温泉雑記(抄) 岡本 綺堂
硫黄泉 斎藤 茂太
丹沢の鉱泉 つげ 義春
熱海秘湯群漫遊記 種村 季弘
湯ケ島温泉 川端 康成
温浴 坂口 安吾
温泉 北 杜夫
母と 松本 英子
濃き闇の空間に湧く「再生の湯」−和歌山県・湯ノ峯温泉− 荒俣 宏
春の温泉 岡本 かの子
ふるさと城崎温泉 植村 直己
奥津温泉雪見酒 田村 隆一
別府の地獄めぐり 田辺 聖子
温泉だらけ 村上 春樹
温泉で泳いだ話 池波 正太郎
女の温泉 田山 花袋

浸かれば極楽だけど、源泉は地獄でもあり、湯船のなかは胎内にも似て、そんな温泉天国の表紙が「死後くん」なのはちょっと気がきいている。結婚するかしないかというころに、どこかの飲み屋で一緒になって、鳥居のめがねで背後霊つきの似顔絵を描いてもらった。背後霊は芋掘り名人ともぐらだった。