まみ めも

つむじまがりといわれます

お早よう

先週あたりに、遊歩道の藤棚はもう少しだな、と思っていたのに、ふと見たらまっ盛りになって房がたれている。園の玄関のモッコウバラも花盛り。あかい葉の鮮やかだったベニガシワはだんだんに色が褪せてきた。遊歩道のわきに咲いた花の、これは、海棠ではないかなと思っていたのに、調べてみたら海棠ではなかった。なんという木だろうなと思っていたのを、こないだ読んだ庄野潤三の本のなかで海棠がでてきた、すぐあとで蘇芳という木の名前が出てきて、ぴんとひらめいて調べたらやっぱり蘇芳だった。並木に紅白が行儀よく空に向かってひらいているのはハナミズキ。春はとにかくめまぐるしい。
浦和のデパートまででかけて伊勢丹のレ・パティシエールモンブランを買った。フリルのスカートをはいたようなデコレーションで、栗の風味がなかなか力強い。マロングラッセがてっぺんと中にひとつずつ。スポンジとタルトの中間のようなやわらかい土台。

プレミアムシネマの録画。

長屋ものを得意とした小津安二郎監督が、東京郊外の新興住宅地を舞台に隣近所の人間模様を描き、独特のユーモアセンスを発揮した傑作コメディー。団地やテレビ、フラフープなどが登場した昭和30年代前半、子どもたちのいたずらや親たちの日常会話を通して、当時の庶民の生活がいきいきと浮かび上がる。鮮烈な赤をはじめ、小津監督ならではの計算されつくしたカラー映像が印象的。

庄野潤三とおなじく、螺旋のようなどこにもいかない日常が煮物の出汁のようにじんわりとしみてくる。どこにもいかないはずなのに、取り返しのつかない日々。