まみ めも

つむじまがりといわれます

スケッチブックの一人旅

三日はセイちゃん六歳の誕生日。朝、おめでとうを伝える。富山県立近代美術館スターウォーズ展をみにでかける。常設展をみて、気に入った絵の絵はがきを三枚購入。
奥田元宋「山畑」
シャガール「山羊を抱く男」
ミロ「パイプを吸う男」
いずれも80円也。帰りにイオンのフードコートでざるそばにすがきやのラーメンでおそ昼。誕生日の特別で、ソフトクリームを四つ買ってみんなで舐めた。夜は手巻き寿司。にぎやかな食卓。おかあさんの「はじめて〇〇を食べて感激した話」はホットケーキ、マヨネーズ、クリームシチューなんかのバージョンがあるのだけれど、今回はホットケーキを久しぶりにきいた。ふわふわのホットケーキに四角く分厚いバターがのっかって、その上にメープルシロップがたら〜りとかかって、と、食レポ的には平均点の描写なのだけれど、うっとりとしたおかあさんの顔がうれしくて、何度きいてもおもしろい。今回は、おかあさんのこの歴史的なホットケーキ記念日が、ケネディ大統領暗殺のその日であったことまで判明した。そろばんの大会で街に出て、ホットケーキをご馳走になり、帰りの電車の停車駅でケネディが死んだと駅のホームであんころ餅を売っているおじさんから聞いたらしい。もうひとつ傑作だったのは、十人きょうだいだったばあちゃんの兄の神戸のおっちゃんの話で、若いころ、仕事を終えて家に帰ったらみんなごはんを済ませたあとで、なすのオランダ煮を鍋から食べようとしたら鍋の中に雑巾がはいっていたというもの。くたくたに煮られたなすと、雑巾が渾然一体となった鍋のエピソードは、さすがに迫力がある。

スケッチブックの一人旅 単行本

スケッチブックの一人旅 単行本

地元のト本。

おもいついたままに、行きたいところに行き、食べたいものを食べる。欲しいものを手に入れる。なつかしい風景、のんびりとした時間がよみがえる、水丸流ぶらぶらてくてく旅画帖。

旅先の雨、苦手な犬、お昼を過ぎて閉じてしまった食堂に休館日の美術館。無表情のイラスト、余白、とぎれとぎれの線。ページにまぎれこむちょっとした不安が、旅先の漂泊の感じにぴったりする。淡々としている安西水丸が、ときどき、おっとなるようなことを書いていて、思わずメモってしまう。
まあいい。忘れることも旅の一つだ。
はじめての土地へ向う時、それはぼくにとって外国と同じになる。