まみ めも

つむじまがりといわれます

作家の口福おかわり

少し前の土曜に、セイちゃんとフクちゃんがお友だちの家にお泊まりをした。家族と離れてお泊まりをするのは初めてだったけれど、ふたりとも楽しかったらしく、まだ帰りたくないとぐずるのを連れて帰った。泊まった夜は、煮込みハンバーグに手巻き寿司、お味噌汁にポテトサラダのご馳走がこたつのうえにいっぱいに並んでおり、翌朝はホットケーキ、お昼はおいなりさんに焼きそばにホットドッグ、おやつはフルーツポンチとお祭りのような豪勢なメニューを用意してもらったらしく、その上フクちゃんの好物のスイートコーンの缶詰をお土産にリュックに入れてもたせてくれたのだった。ふたりが脱ぎ捨てたであろう洗濯物もきちんとたたんであった。その間、フーちゃんはひとりっ子状態で、家の中は妙にひっそりとし広々と感じた。

作家の口福 おかわり (朝日文庫)

作家の口福 おかわり (朝日文庫)

ト。

20人の作家が「食」をテーマに競演。大好物から、調理における発見、思い出の味、食の結んだ縁まで、様々な「美味」が味わえる極上のアンソロジーエッセイ集。『朝日新聞』土曜別刷り「be」掲載を書籍化。
朝井リョウ
たこ焼きスナイパーの夕べ/オートミール、少年の夢と現実/週末の朝、魅惑の楽園へGO!/閉店後の定食屋で男三人は…/震える紐、目を瞑り引き続けた
上橋菜穂子
美味しい物語/タテ飯、ヨコ飯/行きつけのお店/ご飯の友
冲方丁
肉 命を譲ってもらっている美味さ/大根 大戦争を生き残った平和主義者/魚 シャケは食べ物とみなされない?/茶 異言語でかくも似た発音とは…
川上弘美
しょぼ飯欲/お弁当/苦手な献立が、ひとつだけ/そのスイッチ/一人の食事を見ていたのは
北村薫
『ぞろぞろ』と「はっかのお菓子」/『クオレ』と「焼きりんご」/谷崎と「水」/漱石と「カステラ」
桐野夏生
ポップコーンVS.沢庵/母が「バウルー」を捨てたとき/満腹して思う「なんだかなあ」/待ちわびる人の深き悲しみ
辻村深月
初めてのカツカレー/幸福のスパイス/あの子が消えませんように/おにぎりとの再会
中村航
半分くらい薄味の牛丼/小学五年生の贅沢品/ビーカーコーヒー /カップ麺「ちょい足し」で美味くなった
葉室麟
土筆の卵とじ 伝えそびれた気持ち/秋月のシシ鍋と人情の温かさ/建築家の夢、香るあごだしスープ 葉室麟/たらおさは詩人の慟哭の味わい
平野啓一郎
私の「肉観」は変わった/パリのラーメンは、なぜか懐かしい/「ウマい」という感覚の遅さ/昼食は、ほとんど毎日カプレーゼ
平松洋子
四角いおむすび、いかがです/ひじき甘いか、しょっぱいか/ハッシュドポテトの来歴/素っぴん茶碗蒸し/私の「必殺するめ固め」
穂村弘
カレーの歌/カップラーメンの歌/牛乳の歌 /鰻の歌
堀江敏幸
ジャムは嘗めるものである/赤いトマトと白いプードル/響きのない鐘を撞く/蜜のついている奴や、バタのついている奴/潜水艦に鮪をのせて
万城目学
出前/鰻/ミルクティー /パスタ
湊かなえ
みけつくにでハモを食す幸せ/生レバー、生シラス、生サワラ/淡路島、究極のおもてなし料理
本谷有希子
おいしく生まれてこなければ/会食音痴委員会
森見登美彦
ベーコンエッグ 仕上げに秘密の調味料を/父の手料理 なぜか、いやにうまかった/無人島の食卓 自信に満ちた男になれるか/おいしい文章 組み合わせで引き出せる
柚木麻子
すし銚子丸 気分はハリウッドセレブ/元祖寿司 お一人様でもホッとする/海鮮三崎港 「ただいま」が似合う寿司/スシロー チャレンジャーとなりて/あじわい回転寿司禅 レーンに載った「伝説」
吉本ばなな
おつまみタイム/ひきだしの店/お母さん/ハワイ
和田竜
お好み焼き オオニッチャンちの思い出/鮎 眠気がぶっ飛ぶほど旨かった/醬油 北条氏康に無茶苦茶怒られる/トンカツ 午後八時必着の美味い店

食べ物の話は、おいしいものと同じかそれ以上にいけないものもいいエピソードになるので、川上弘美のしょぼ飯や辻村深月の裏切りのカツカレーの話にぐっときてしまう自分。