まみ めも

つむじまがりといわれます

100万分の1回のねこ

火曜は駅の向こう側までいく。店先にお地蔵さまのいる喫茶店で、やっぱりモンブランとフレンチブレンドのケーキセットをもらう。700円也。こちらのモンブランは、タルトとスポンジの合いの子のような生地の上に、ダイスのつぶつぶしたイエローの栗入りのホイップクリーム、そのうえにマロンクリームが絞ってあった。コーヒーはふた口そのままで飲んでからクリームを全部入れて飲む。ちびちびと飲んで、最後、冷めてしまったころが一番いいにおいがした。そばの席にふたりでかけたおばさんが、今年はナスを植えるという話をしている。BGMはクラシックの有線で、モーツァルトピアノソナタがかかった。お迎えにいったら、フーちゃんは身体測定で大泣きしたということで、鼻のわきに涙のかわいたあとがあった。わたしをみつけてほっとしたのか泣きそうにした。
フクちゃんが、帰り道で毎日ひろいものをする。きのうは群青のかたくちいさな木の実をふたつ拾ってセイちゃんと半分こにしてふたりともひとつずつポケットにしまった。ハナニラの花をひとつ摘んで、前の日に手折ったタンポポふたつと一緒にあきびんに挿しておく。タンポポは家の中がどんなに明るくても頑なに閉じている。

新着資料から予約したト本。

佐野洋子の名作絵本「100万回生きたねこ」に谷川俊太郎江國香織川上弘美ら人気作家13人が捧げる、トリビュート短篇集。『小説現代』掲載に書き下ろしを加えて書籍化。
生きる気まんまんだった女の子の話 江国 香織
竹 岩瀬 成子
インタビューあんたねこ 工藤 直子
ある古本屋の妻の話 井上 荒野
おかあさんのところにやってきた猫 角田 光代
百万円もらった男 町田 康
三月十三日の夜 今江 祥智
あにいもうと 唯野 未歩子
100万回殺したいハニー、スウィートダーリン 山田 詠美
黒ねこ 綿矢 りさ
幕間 川上 弘美
博士とねこ 広瀬 弦
虎白カップル譚 谷川 俊太郎

100万回死んだ、ではなく生きたねこにあやかった短編たち。工藤直子と広瀬弦が特によかった。石川の家には、2匹ねこが暮らしたことがあったけれど、あのねこたちは何分の1だったんだろう。

「インタビューあんたねこ」くどうなおこ
あんたねぇ あたしは ああであったり こうであったり
ああでなかったり こうでなかったり なおかつ
ああであるとおもえば こうであり あまつさえ
こうにちがいないとおもえば ああなっちゃうの