先週、通勤の乗り換え駅のコンコースでおまわりさん数人がかりに連行される男を見た。腰が折れてまともに立っていられないのを両脇から抱えられて歩いていく。酔っているのかラリっているのか、わーわーと喚くのを、いまさらガタガタいってんじゃねーぞと喝を入れたおまわりさんの声の青さにハッとした。梅佳代だったらシャッターを切るのかもしれない。シャッターを切ってもあのハリのあるガタガタいってんじゃねーぞは再生されない。おなじ駅できのうの朝はまめおという名札をつけた着ぐるみがやっぱりおまわりさん数人に囲まれてこちらはえっちらおっちら歩いていた。月曜の朝のなんとなく憂鬱な気分にほのぼのした違和感がまじる。梅佳代だったらシャッターを切るのかどうかよくわからない。
- 作者: 檀ふみ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/12/01
- メディア: 文庫
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偉大だった父への反抗と和解、市井に生きた母の賢明さ―幽明境を異にして初めて語られる父母への長く秘められた思い、独特な親子関係の秘話。著名人35名が明かす35通りの「親子の形」。檀ふみ、瀬戸内寂聴、所ジョージが過ごした父親とのかけがえのない時間。本田宗一郎、力道山、山本周五郎が我が子の前で見せた素顔。北杜夫、石井ふく子、梅沢富美男の心に今も残る父母の教え。
ひとさまの手紙を読むのが好きというとはしたないけれど、好きなものは好きなのでしかたがない。この本は手紙というもののちっとも手紙ではなくて裏切られた気がした。こんなタイトルをつけてはならん。