まみ めも

つむじまがりといわれます

いまだから書ける父母への手紙

先週、通勤の乗り換え駅のコンコースでおまわりさん数人がかりに連行される男を見た。腰が折れてまともに立っていられないのを両脇から抱えられて歩いていく。酔っているのかラリっているのか、わーわーと喚くのを、いまさらガタガタいってんじゃねーぞと喝を入れたおまわりさんの声の青さにハッとした。梅佳代だったらシャッターを切るのかもしれない。シャッターを切ってもあのハリのあるガタガタいってんじゃねーぞは再生されない。おなじ駅できのうの朝はまめおという名札をつけた着ぐるみがやっぱりおまわりさん数人に囲まれてこちらはえっちらおっちら歩いていた。月曜の朝のなんとなく憂鬱な気分にほのぼのした違和感がまじる。梅佳代だったらシャッターを切るのかどうかよくわからない。

いまだから書ける父母への手紙 (新潮文庫)

いまだから書ける父母への手紙 (新潮文庫)

ブで108円。2015年の1月に買っていた。

偉大だった父への反抗と和解、市井に生きた母の賢明さ―幽明境を異にして初めて語られる父母への長く秘められた思い、独特な親子関係の秘話。著名人35名が明かす35通りの「親子の形」。檀ふみ瀬戸内寂聴所ジョージが過ごした父親とのかけがえのない時間。本田宗一郎力道山山本周五郎が我が子の前で見せた素顔。北杜夫石井ふく子梅沢富美男の心に今も残る父母の教え。

ひとさまの手紙を読むのが好きというとはしたないけれど、好きなものは好きなのでしかたがない。この本は手紙というもののちっとも手紙ではなくて裏切られた気がした。こんなタイトルをつけてはならん。