まみ めも

つむじまがりといわれます

東京飄然

家族が夏休みになり、一方こちらは土曜も仕事、もちろん週明けも仕事、それでも片づかないので、ひと足さきに鎌倉にいってもらって、早出に残業までしたけれど、それでも仕事がいくらもある。帰り道、台風で雨風に吹きつけられ、いっそ帰ってしまおうかと思ったけれど、駅前の店に入り、ひとりでビールを飲んだ。こんな風にひと晩をひとりで過ごすのはセイちゃんが生まれる前から7年以上なかった。ビールを2杯、ミックスナッツとフィッシュ&チップスをもらい、雨が小止みになったところを帰る。家について玄関から部屋にはいると、ひっそりと床の木のにおいが立ち上る。お風呂をわかして、シャーデーをききながらぼんやりつかる。朝は4時半に起きて荷造りをすませ、6時前に家を出た。仕事を早めに切り上げて鎌倉に向かう。

ト。

風に誘われ花に誘われ、一壺を携えて飄然と歩いてみたくなったのだ。早稲田、王子、鎌倉、新橋、銀座、上野、高円寺…。ぶらぶら歩きで出会った光景を、鋭い観察眼で描写する。写真も多数収録。『婦人公論』連載の単行本化。

これは、平成版阿房列車ともいうべき逍遥なのだった。屁理屈をこねてなにをなすでもなくぶらぶらしている無為のすばらしさよ。くだらなすぎてペーソスありあまる。