まみ めも

つむじまがりといわれます

男と女

遊歩道の枇杷の木に鳥があつまって樹下に実がちらばっているので、一応人目をはばかりながら届きそうなところの枝をつかまえて手元に引っ張り、やっとこさひとつだけ、無傷の実を手にとれた。冷蔵庫に冷やしてうぶ毛のはえた皮をむき、ほんの小さな実をまるのまま口にいれる。ちいさな身に種がおおきくて、果肉はかけらのようにわずか。味だってあるようなないような。このこころもとなさがいかにも枇杷で満足する。今年の枇杷は、このひとつだけにとどめておこう。枇杷のようにうぶ毛につつまれていたあかんぼうも、こまかい毛がおちて、手ざわりがちがってきた。小学生のとき、近くの畑の枇杷をランドセルをしょったまま盗み食いしたことをいつまでもしつこく思い出す。

ゆりかごの 上に
びわのみが ゆれるよ
ねんねこねんねこ ねんねこよ

プ。

フランスのドービルにある学校の寄宿舎に娘を預けて、パリで一人暮らしをしているアンヌ(アヌーク・エーメ)。一方、カーレーサーのジャン(ジャン=ルイ・トランティニャン)もまた同じ寄宿舎に息子を預けていた。子供を通して知り合った二人には、それぞれ夫と妻を亡くしたという共通の過去があった。やがて二人は、互いへの思いと辛い過去の間で揺れ動き……。

男のモノローグがしみったれていで笑える。女はいっさい内面を明かさない。アンヌの美貌がすごいので、演技もなにもいらないからカメラの前に佇んでいてくださいという感じ。