まみ めも

つむじまがりといわれます

ワンピースの女

一度だけ自分勝手がしてみたいメトロノームの五月の疲れ/杉崎恒夫

ふとこの短歌を思い出して自分勝手がしたくなり、金曜の午後に休みをとった。ゴールデンウイークにふたごがうまれた友だちに会いにいく。デパートを冷やかしてからパイとブーケをお土産に買った。マミーズのパイは雲の上のレモンパイという名前で、クリームが山盛りになっている。クリームがつかないように、箱の蓋を浮かせて渡してくれた。てんこもりのクリームが崩れないように人通りのすくない道を選んでいく。ふたごの天使は並んですやすやと眠っており、お茶を飲んで、そのうちうごうごしはじめたふたりを順番にだっこさせてもらった。発光していた、ふたりとも。赤ちゃんのいる時間の流れにいつまでも浸りたい気分。

ト。

デザイナーの友人が作った麻のAラインワンピース、気持ちが落ち着く黒いワンピース…。50歳以上の61人の女性のお気に入りの一着と、生きていくうえで大切にしていることを紹介。『暮しの手帖』連載を再構成して単行本化。

このごろ自分に似合うものがわからない。鏡の中はあまり見ないようにしている。