まみ めも

つむじまがりといわれます

誰も知らない

誰も知らない [DVD]

母子家庭の4人の子供たち。それぞれ別々の父親を持つ子供たちは、学校に通ったこともなかったが、それなりに幸せな毎日を過ごしていた。しかしある朝、20万円の現金を残して、母が失踪する。この日から、誰にも知られることのない4人の子供たちの生活が始まり…。是枝裕和監督が実際に起きた「巣鴨子供置き去り事件」をモチーフに映画化した作品。

たしか公開当初に試写会で見た。前の座席のカップルが、「ぶっちゃけよくわかんなかった」と言っていたっけ。その当時のわたしは、わかったんだか、わかってなかったかもしれない、わかるってなんだろうと思う、いまのわたしにもわかるのか、わからないのか、どうだか。ひとつわかるとしたら、この映画は柳楽くんの思春期、そのなかでもとても繊細な一時期を切り取って見せているということかもしれない。実際に彼はこの映画の撮影中に変声期を迎えたんだったような気がする。透き通ったセクシーさにどきっとさせられる。これは、わたしがもう思春期を通過して中年になってしまったからわかることで、にきびばっかり気にしていた思春期のさなかでは、こういうことは見えなかったんだろう。中年にもなってみるもんだなあ。
この映画の母親は、だいぶウッカリしていて、そこに悪意を一切伴わないのが残酷だ。薄っぺらい紙、あれがスパッと手を切るように、こどもたちをサッパリ忘れてしまう。悪意がないからこそこどもたちは母親を強烈に求めていて、強烈に求めているがためにそれを母親に伝えられないというもどかしさがある。たとえば母親がその存在を忘れたら、いとも簡単に世界から切り取られてしまうこどもたちというのは、世の中にはウンといるんだろう。わたしは、けっこうウッカリした性格なので、ある日突然クリティカルななにかを忘れてしまったらどうしようなんてことをおそれる。たとえば駅から家までの帰り道、名前、年齢、打ち込んでいたら自信がなくなってきた。わたしはわたしだ、と、思っているけれども、誰かに名前を呼んでもらわなければ、自分の名前だってうしなわれてしまうような気がする。なんてあやふやな自分なんだろう。とりあえず、頭をぶっつけないように生活しなければとおもう。