まみ めも

つむじまがりといわれます

ヨーロッパぶらりぶらり

ヨーロッパぶらりぶらり (ちくま文庫)
軽井沢にいったときに、ジョンレノンが泊まったというホテルの喫茶室でココアを飲み、あいている部屋をあけてもらって息子に乳を飲まして、もどったら、これからどこに行くか、選択肢から選べという。いくつかのプランのうちに古本屋に寄るのがあったので、迷わずそれを選んだら、みんなにびっくりされたので、それは、わたしが優柔不断でメニューも決められないのを、まさか即答で選ぶことなんかできないだろうと、そう思われていたからだった。結局その日は古本屋にいく時間はないだろうというので、翌日にいくことにして、旅の最後に寄った古本屋で、わたしは五冊ほど本を買った、そのうちのひとつ。
山下清のエッセイは、ちくま文学の森で読んだのがはじめてで、びっくりするぐらいよかったけれど、この文庫には旅のスケッチものっていて、読んでいるとぶらりとどこかに出かけたくなってしまう。わたしには、ちいさいこどももいて、仕事もあるので、ぶらりとどこかに行ってしまうわけにはいかないが、ふと、電車の窓外をみやると、空に雲がぷかぷか浮かんで、いつもの日常にもなんだか漂泊の気配が漂った。どこにもいけないけれど、こうやって毎日好きな本を読む時間がすこしずつあるから、悪くない。それに、きっとここがいちばん居心地がよいところなんだろう。あとがきによると、山下清は句読点を一切つかわずにズルズルの文章を書いたらしい。そのズルズルのやつを、読んでみたいなあ。