まみ めも

つむじまがりといわれます

そこに僕はいた

そこに僕はいた (新潮文庫)
わたしの辻仁成に対するイメージは、ぶっちゃけ、きもい、のひと言に尽きるので、なぜなら此奴、初対面のミポリンに放った第一声が「やっと会えたね」で、わたしはそのエピソードを聞いたとき全身がおぞおぞして止まなかった。とはいえそれで結婚してしまう女もおるんだから世の中ってわからない。そんな辻仁成の小学校から大学にいたるまでの学生時代の友達のエピソードを書いたエッセイが筈の本棚にあったので拝借。なかばケッと思いながら読んだが、エピソードはおもしろかったので仕方ない。実在する人物というのは、えてしてやっぱりおもしろい。と思って読み終わったら、詩人をやってる辻の友人がクッサイ解説で締めていて、いらっとし、やっぱりケッと思って本を閉じた。
息子の熱はいよいよもって下がらず、昨日からついに入院することになってしまった。粘膜スワブからRSウイルスが検出されたらしく、熱がとれるまでは入院したほうがよかろうということだった。仕事が終わるとまっすぐ病院へ向かう。わたしの顔を見てワーと泣き声をあげたが、わりと機嫌よくしており、「ギュー」といって抱きしめると、まねして「グー」と声を出して管だらけの不自由な腕で抱きしめ返してきた。それでもあとからいやいやとのけぞって一時間ほど泣いた。宥めてすかして寝かしつけたので、バスに乗って駅まで出て、歩いて家まで帰ってきた。空にはまるい月が浮かんでいて、そういえばこんな時間に外にいるのは久しぶりだなあと思う。「おつきさまこんばんは」という絵本を、息子が最近気に入っているのを思い出してふっと笑った。きょうは家人が出かけていないので、まるっきりひとり、喫茶店にでも入ろうかと思ったが、なんだか疲れていたのでよしてコンビニに入る。ごはんもと思ったが、なんとなく食べたい気分にならずにココアとオレンジジュースを買って帰宅、茶漬に梅干をのせて啜りながらぼんやりテレビを眺めたが、だんだんとむなしくなりそうなので、風呂を沸かして入ることにした。風呂にゆっくり入ったことが、もう随分ないので、珍しくのんびり湯につかって本でも読もうと思う。ひとりになりたいなあと薄っすらと思わないこともなかったはずなのに、いざひとりになるとなんだかひとりの自分をもてあましてしまう。息子が泣いていなければいいなあと思う。