いよいよ腹もでっぱって、里帰りする日が近づいてきた。しごとは有給休暇を使い果たしてかりそめの自由を遊ぶつもりが、先週から胃腸炎をやった息子氏がこんどは熱をだし、最終出勤日を一日残すだけになりながらなかなか出社できずにのびのびになっている。先週は胃腸炎がみるみるうち家族内に伝播し、胃もたれ胸やけが容赦なく、三度ほどヴォミットし、三日ばかりプディングやうどんで過ごしたのだったが肥えすぎた妊婦には丁度よかったかもしれない。きょうははなから諦めて朝はいつもより寝過ごしたが、起きてみたら窓の外がまっしろけなのでおどろいた。
腹の具合がよくなってきたので、午睡の息子を横目にブックオフの¥105コーナーでみつけた島田雅彦氏の料理本をぺらぺらやる。食にまつわるエッセイで島田氏オリジナルレシピも載っている。文壇の貴公子はどんなしゃれたものを食べるんだろうとおもったら、美食もありB級もあり、放浪先でもなんでもかんでも喰らい、家畜の肥料にするという醤油の搾り滓をもらって酒のつまみにしてみたり、食べる量も二キロの島らっきょうを三日で、なんてって、気分がよいほどに食い意地が張っているのでわらってしまった。これだけ食い意地が張ったひとがやるのだから、どれもおいしいんだろうが、蕎麦つゆにお猪口一杯の日本酒を混ぜて蕎麦を啜るというのなんか、蕎麦屋からも酒からも遠い身としては桃源郷のように思える。大市民日記の山形先生もビールに氷をいれて「美味し!!」なんてやっているが、自分の好きなように好きなものを食べるのが一番のグルメだなあとおもう。
きょうの昼は、筈氏がやたらと防災用に買いためた缶詰が消費期限を迎えているものだから、大蒜を炒めたところに鯖缶をつぶし、ドライトマトをいれてパスタと和えて大葉とオリーブオイルをかけて食べた。どんなもんだろうと思ったが、こうやってちゃちゃっと適当に作ったもののほうがおいしかったりするので、食というのはよくわからない。