まみ めも

つむじまがりといわれます

少年の眼

少年の眼―大人になる前の物語 (光文社文庫)「めくらやなぎと眠る女」村上春樹/「星の巣」ビートたけし/「日曜日の反逆」灰谷健次郎/「小さな橋で」藤沢周平/「子供の領分吉行淳之介/「雨のなかの噴水」三島由紀夫/「公園にて」中井英夫/「驟雨」井上靖/「トカチン、カラチン」稲見一良/「原っぱのリーダー」眉村卓/「星と葬礼」吉村昭/「感謝祭のお客」トルーマン・カポーティ/「笑い虫のサム」ウィリアム・サローヤン/「天使が見たもの」阿部昭/「夏の葬列」山川方夫/「黒い御飯」永井龍男/選者解説 川本三郎
入院にもってった三冊め。長編などはとまらなくなってはいけないので、短編集をえらぶ。川本三郎がえらんだ少年時代をきりとった物語群。カポーティ「感謝祭のお客」が気に入った。訳は川本三郎

いやなやつの話をしよう!わたしの経験ではこれまでオッド・ヘンダーソンのようにいやなやつには会ったことがない。

こんな書き出しではじまるので、胸がわくわくする。だいたいにおいて、あいつまじでいいやつ、みたいな話はつまらんのだ。いやなやつの話のほうが話すほうも聞くほうも盛り上がる。電車の女子高生をみたって、悪口いってる子はずいぶんいきいきしている。川本三郎のえらんだ短編はどれも純粋でありながら残酷に屈折した少年ばかりで、一本読み終えるたびにずしりずしりと気持ちにこたえた。
3日はセイちゃんの誕生日だった。夜はアンパンマンのケーキでお祝いをした。一年前のゴールデンウイークは、ならし保育でもらった風邪をすっかりこじらして肺炎になり、さらには離乳食をいやがるので貧血もおこして、病院送りになり、あおっちろい顔をして入院していた。酸素吸入のマスクに点滴、採血のカテーテルもつけられ、食事のたびに去痰の吸引をやられ号泣、それは不憫なものであった。わたしも付き添いで泊まり込み、檻のような柵付きの小児用ベッドに縮こまってねむりおっぱいを飲ますのでちっとも休まらないうえにコンビニ飯しか食べられず、体調をくずし、風邪をひいてぐったりしたんだった。ことしはフクちゃんも元気なうぶ声をあげたし、みな丈夫で過ごせるのでいうことなし。