こないだ商店街をぶらついとったら、向こうから白髪のばーちゃんが、膝上のスカートにレース編みのソックス、杖をつきつつサンダルをぺたんぺたんやって歩いてくるのに目がいった。随分と派手なばーちゃんだなあと思って眺めていると、顔見知りらしい床屋の親父がでてきて、トメさん、おばあちゃんなんだから短いスカートはやめなよ、と声をかける、のに、ばーちゃんは知らん顔して通り過ぎる。床屋は、ねえ、トメさん、おばあちゃんなんだからさ、と背中に繰り返し、それでもばーちゃんがぺたんぺたん歩いていくものだから、ヴォリュームが次第にあがり、ええい捨て鉢、ねえ!おねーさん!と声をかけたその瞬間にトメさんは、ものすごい瞬発力でなあに?と振り向いた、その瞬発力が、背後にひとが立ったときのゴルゴ13級だったので、床屋がみごとにずっこけた。ファンキーだなあ、トメちゃん。ナマ脚さらけてるばーちゃんなんて、ちょっといい。
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