まみ めも

つむじまがりといわれます

007 スカイフォール

クリスマス連休の初日は、街にでて、読書灯と安売りになっているクリスマスツリーを買った、そのときに貰ったくじ引き券が、家に帰ったら、机のうえに無造作に置かれていたので、くじ引き忘れちゃったねというと、あしたくじ引きしてきてよと返され、なんのこっちゃと思っていたら、映画を予約してあるから見ておいでというのだった。

久しぶりに身ひとつで歩くと体も心も軽い。クリスマス・イヴでなんとなく街も浮かれているし、そそくさとiPhoneにイヤフォンをさして、オザケンをきく。90年代のオザケンの軽薄なきらきらした調子は、ちょっと変え難いもんがある。あれから二十年近くたって、わたしはプラダの靴がほしいのなんていう女にはなれないで、無印良品のソーラーの読書灯がほしいのという女になったなんて思いながら。予約してあった席はやや後方、菓子パンをカフェオレで流し込んで待っていると座席はほぼ満席になった。映画はといえば、久しぶりのシネコンに否応なしで盛り上がる期待を120%満たしてくれる内容だった。ダニエル・クレイグジェームズ・ボンドが見事に開花。アル中気味で過去をひきずる人間的な007、そのセクシーぶりに東京ドーム何杯ぶんかのため息、どきどきする展開に黒部ダム何杯ぶんかの手汗を量産した。劇場全員のどきどきを合わせたら元気玉とはいかんでも原発はいらんのではないか。上映後、iPhoneの電源をいれると即でメッセージが入り、なんのミッションかと思いきや、いちごのドーナツを買ってきてというかわいらしいもので、ミスタードーナツに立ち寄り、iPhoneで音楽を流したらさっきまでウキウキで聞いていたオザケンの軽薄さに驚愕、007の余韻に浸れるものをと帰途はマッシヴ・アタック。途中、急いで帰れというメールを受信したので、ジェームズ・ボンドばりに両手手刀でダッシュしたいのを堪え、須原屋で百年文庫のなかから一冊、三十秒で選び、泣く子も黙るスピードの早歩きで帰ったので泣いた子はおとなしくなっていた。夜、百年文庫の「惚」を渡したが、そのときの気分はいかにも「照」「恥」、しかし百年文庫にはどちらもないのでだとしたら「穴」だろうかとあてのないことを考えてクリスマス・イヴは更けた。