まみ めも

つむじまがりといわれます

優しいサヨクのための嬉遊曲

優しいサヨクのための嬉遊曲 (新潮文庫)

優しいサヨクのための嬉遊曲 (新潮文庫)

ブックオフオンラインで105円で買ってあったやつ。ここのところは図書館通いが板について図書館とスーパーと家の三点を行ったり来たりし引きこもり気味、ブックオフもあんまり覗かなくなっちゃった。おなじような一日が永遠にループしてもわたしはちっとも苦痛でないのかもしれん。薄口醤油でセピア色に煮込まれた平凡なおかあさんの一日。
文壇の貴公子島田雅彦のデビュー作。本棚から引っ張り出してきてみて、表紙のヘンリー・ダーガーにおっとなる。偉大なるオナニストが主人公の青春恋愛小説。島田雅彦によれば、青春小説を装ったポルノ小説。ヘンリー・ダーガーの内側では変態が妄想をスパークさせて滑稽な恋愛をちぐはぐとやりながら、最後はなんでかまとまってしまうという、ちょっとしたホラー。サヨクがどうのという部分に関しては、「女の子に政治の話をするのは、読経してやるのと同じだ」と本文中にある通りでわたしにはお経にしかならんかった。といっても、お経は、嫌いでない。わたしは信仰はニュートラルなつもりだが、禅宗の寺で仏前式で結婚し、太鼓をドンドコ鳴らしておめでたいお経をあげてもらったのは、よかったと思っている。
あと、写真家の北島敬三が書いた解説がおもしろい。中上健次が「あらゆるものの隠喩が天皇だ」「天皇の隠喩は無い」といったり、島田雅彦中上健次に「おまえはバカだ」「他人の尻ばかり追いかける三流作家」「フンコロガシ」と罵倒されたりするエピソードが書かれている。「フンコロガシは創造的な昆虫だ」と言い返す島田雅彦がおかしい。