桜は葉桜になりだした緑とピンクのモザイクがひそかに好きなのだが、それも終わってしまった。あちこちの庭先でブルームする花の彩り。わが家にも花の苗がとどいたので、こないだ、鉢に植え替えした。見覚えのある花たちなのに、無頓着なわたしには名前が知れない。名前を呼びたいというのはなんだかドメスティックな感情なのかもしれないなと思いつつ、名前を知った花にであうと、それをもぐもぐ口の中で咀嚼しながら歩いている。チューリップ、パンジー、ムスカリ、モッコウバラ、シバザクラ、ハナミズキ、ハクモクレン。保育園のお迎えにでた帰り道、路肩のタンポポやひなげし、ハルジオンを手折って持ち帰るのだが、ひなげしはふと気づくと花びらが風にとばされてなくなっているし、ハルジオンは根こそぎ抜けてしまう。タンポポは家のなかではかたくなに花びらをとじて、地の花であることを主張する。そんなことがいちいち物珍しく、雑なわたしなりに丁寧に生きていきたいなあと思ってみたりする。
- 作者: 藤原マキ
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2003/01
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 22回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
つげ家の本棚に、宇野浩二と川崎長太郎が並んでいること、精神科を受診したつげ義春について「オトウサンの病院での結果は、血沈、胸とも異常なし、たゞ平衡感覚が少し変と云われたらしい。」というくだりを読んで、つげ義春は猫町体質なんだろうと思ったことを付記しておきたい。