まみ めも

つむじまがりといわれます

風と死者

四連休のふつかめ、バスを乗り継いで大崎公園にでかけた。ぶらりとピクニックでもというつもりで、簡単な弁当をタッパーに詰めて、でかけた先は、やたらと人出がして、キャンディーズをうたう声が風にのって流れてくる。アグリフェスタとかいう祭りをやっていて、埼玉のほうぼうからひとが集まっているらしかった。えりあしの長いこども、姫・お嬢と呼ばれる姉妹(名前なのか俗称なのかは不明)、おそろしく太った母親、菓子パンをバスの車内でむさぼる二児の母、その連れ合いはイヤフォンを耳穴につっこんでスマートフォンをいじくりたおし、こどもは車内でうずくまりきのこの山をかじっている。いやはや、なんとも。会場はスルーして、芝生の日陰をえらんで弁当をひろげる。おかずは、おにぎり、かぼちゃとさつまいものサラダ、トマト、ウインナー、おくらとしめじのソテー、スナップエンドウ。弁当はみごとなより弁でおにぎりが一部解けてしまいおかずは散々五々ちらばってちょっとした学級崩壊の様相をおもわせたが、青空のしたなのでゆるされたことにしておこう。フクちゃんは草むしりに熱中、セイちゃんと宿六はサイクルモノレールでライオンの自転車をこいで園のすみをひと巡り、パトカーのバッテリーカーを乗り回し、こわがりのセイちゃんは子供動物園でモルモットと山羊におっかなびっくりタッチした。タッチしたあとで、カワイイね、とふるえる声で胸いっぱいどきどきした様子でうれしそうにつぶやくセイちゃんをみると、たまらなくかわいくてぐしゃぐしゃにしたくなるんだった。浦和にもどり、おやつにドーナツをたべて、いってみヨーカドーでこども用サングラスをセイちゃんにかけて遊び、パンを買って帰宅。
夜のお風呂で、なにがたのしかった、ときいたら、セイちゃん、ウーント、ワカンナイからおかあちゃんキメテ、と、このところのお得意のこたえをくりだしてきたが、しつっこく問い詰めたら、サイクルモノレールが首位、パーポーのバッテリーカーが次点だった。

風と死者 (1969年)

風と死者 (1969年)

くさびら譚
車の精
ゼロ番区の囚人
風と死者
きのこ文学の本で紹介されていたくさびら譚をお目当てに図書館で予約。はじめての加賀乙彦だったがおもしろかった。やっぱりくさびら譚がよかった。
「荻野君、ぼくはね、自分を気違いだと思っとるんじゃ。どう考えても自分は普通の人間じゃない。たとえばこのキノコだが、こんなものに夢中になるのは普通じゃない」
「この一本のキノコはな、きみ、全キノコ類の代表なんじゃ。本当をいうとキノコ類一般などというものはなくて、このキノコがキノコなんじゃ。わかるか」
キチガイを自称したお医者という設定で、吉行淳之介との対談で、ぼく発狂中なもんでと言った北杜夫を思い出す。キノコ類というものはなくて、このキノコがキノコなんじゃ、というのを、誰かに講釈たれてやりたい。キノコ話にふさわしいのは靖国神社でキノコばっかり探していたあいつと、あいつだ。そろってキノコみたいな頭しやがって、覚えてろよ。