フクちゃんの結膜炎が治ってきたとおもったら、家族じゅうにひろまったのか、セイちゃんも宿六もわたしも眼が充血してまぶたを腫らして、みんなでしょぼしょぼになってしまった。まわりにうつすわけにもいかんので、なんとなく気持ちも引っ込み気味。仕事にでてもなんとなくうつむきがちになる。帰り道、クリームソーダ味の飴を、べろの上でころがして、耳にイヤフォンつっこんでユーミンをきく。紙ヒコーキを、なんべんもなんべんも聴く。ユーミンがパッとしない自分をうたうのを、パッとしない気分できくと、胸がしめつけられるようで、それが快感。
- 作者: 加賀乙彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/01/17
- メディア: 新書
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