まみ めも

つむじまがりといわれます

遊覧日記

晦日は、なんとなくくたびれて、日付の変わる前に奥の座敷にのべた布団にはいり、除夜の鐘に耳を澄ますうちに寝てしまった。朝はすこし寝坊して八時、両サイドをかためていたフクちゃんとセイちゃんが順番で目を覚まし、セイちゃんが、くっつくとあったかいよ、と言って、ギュウギュウくっついてくるのをフクちゃんもまねて、おしくらまんじゅうで起きた。パンとフルーツで朝食をすませて車で駅前にでて、歩いて鶴岡にでかけたが、境内の行列にひるんで、参拝せずに帰ってきた。神様に用事があるというよりはお正月気分を味わいに出かけているようなもんなので、境内まではいって、こちらとしては用事というか気は済んだ。帰り道、古本屋のワゴンで庄野潤三の文庫本が100円だったので、買おうとしたら、義父がお年玉に買ってくれた。よい年明け。
おそひるでお節と具だくさんの雑煮を食べて、日本酒をくぴくぴひとりで飲み、こどもとうつらうつら、夕方になって犬の散歩でフクちゃんをおぶって山を上ったので、じわり汗をかき、筋肉痛に見舞われた。夜はステーキを焼いてもらったが、あんまり食べられない、甘いお節で日本酒を飲むほうが性に合う歳になってきたと思う。

武田百合子全作品(6) 遊覧日記(作品社)

武田百合子全作品(6) 遊覧日記(作品社)

去年の年の瀬に読んだ本。宿六とこどもたちが昼寝している隙に図書館まででかけて、書棚から選んで借りた。帰ったらまだみんな寝ていたので、インスタントコーヒーを飲んで、それから布団の隙間に混ぜてもらった。遊覧日記は武田百合子が方々をぼんやり過ごした記録で、なんだかこの人の文章はいろんなことを丁寧に記しているのに、水の中で酔っぱらってるみたいな投げやりさがどこかしら気持ちいい。隅田川の花見弁当がよくて、娘の武田花にそそのかされて「あたしだって」と出かけるのだが(武田百合子は、私とあたしを使い分ける確信犯)、「お弁当箱に御飯をつめ、卵焼ととりのから揚げを作り、」「松屋で、四種類の精進揚げと魚フライと缶ビールを買い足す」、この簡単さ、見習いたいなあ。憧れの弁当は、阿川弘之の機内持ち込み弁当だったが、武田百合子の花見弁当もいい、武田百合子のほうがおかずも少ないので敷居は低い。次の春に虎視眈々とチャンスを狙いたい。