まみ めも

つむじまがりといわれます

フィッシャーキング

連休に栗拾いをしたというひとから、袋にたくさんの栗をもらった。午前中いっぱいかかって鬼皮を剥き、そのうち十五粒をつかって栗としめじの炊き込みごはんを三合炊いた。残りは全部重曹をとかした水につけて沸かし洗い、するのを二晩繰り返し、楊枝ですじをとり、砂糖と醤油と塩とでしぶ皮煮にした。三日三晩。栗というのはなんと手間な食べ物だろうとおもうが、栗ごはんの栗も、しぶ皮煮も、こんなにあわあわした食べ物だったかとおもうぐらいふんわりと仕上がり、おいしいので、また懲りずに作ってしまいそう。しごとを終えて、夕空眺めつつ家について、テレビのスイッチをいれ、相撲のさいごの一番を横目で見つつ、こどもらにかりんとうやレーズンをやり、わたしは栗をひと粒つまむ。それから、怒涛のいきおいで、洗濯、風呂、夕飯。あれだけたくさんの栗を剥いたんだから、ちょっとなんでもできちゃう気になる。

駅構内でまわりだすワルツ。あのシーンに恋のはじまりの魔法がちりばめられていて、ものすごくときめいた。リディアという女の子の、冴えないへんてこぶりがツボで、回転ドアーからはでられないし、露店の本はかたっぱしから落とすし、着る服もいちいちくすんでおり、あるときは全身ベージュのコーディネートだった。これは、下着もベージュにちがいないと思いながら妙にうらやましく、休みをとって街にでたときに、ベージュのワンピースを探してみたが、思うようなものには出くわさなかった。でも、家の箪笥をみてみたら、わざわざ選ばなくてもくすんだ色の服が満載だった。もちろんベージュの下着もあった。色気のない綿100パーセント素材。できるだけくすんだものを身につけ、誰の目にも留まらないように存在感を薄めたい。
リディア役はアマンダ・プラマー。監督はテリー・ギリアム