まみ めも

つむじまがりといわれます

読書のたのしみ

浦和のポストに届いていた年賀状を、あれやこれや言いながら眺める。中には年に一度、年賀状だけでやり取りする旧友もあり、知らぬ間にこどもが生まれたり、結婚や離婚を年賀状で知ったりする。宛名を書いているときにも思ったが、発音の容易でないアパートやマンションの名前が多く、意味だってあるんだかないんだか。パフュームだのヴィラだのバレッツァだの、普段使わない口の筋肉がむずむずするのを堪えて黙ってペンだけを動かし、頭のなかだけで音を想像すると、引き裂かれたみたいな気持ちがする。そうかと思うと、あしたの何時なんていう個性派もいたりする。今年は上海に住む友達からも年賀状が届いていて、その集合住宅は華麗家族となっていたが、どこも似たようなイメージ先行のネーミングらしい。この文化はおもしろいので、どんどんわけのわからないこだわりの名前をつけていけばよろしいと思う。

読書のたのしみ (岩波文庫別冊)

読書のたのしみ (岩波文庫別冊)

図書館のリサイクル書棚でタイトルを見て手に取り、目次をみたら池内紀の名前があったので、頂戴してきた。岩波文庫の別冊で、したがってみんななかなかマニアックなことを書いているけれども、目次を眺めているだけでもなんとなく愉快な気分になる。
詐欺師の変身 池内 紀
もうひとりの私を求めて 牛島 信明
めぐり会った一冊 内海 隆一郎
鷗外との出会い 尾形 仂
夢と現実のはざまに 小野 理子
私の哲学以前 木田 元
わからなくても面白い 轡田 隆史
真正なる悪人 小林 恭二
漱石先生にとりつかれる話 坂田 靖子
哲学をもった政治家、湛山 佐高 信
『山びこ学校』の頃から『職業としての学問』まで 佐藤 文隆
平家物語』雑感 沢田 ふじ子
退屈という気高い峰 清水 良典
分らない何かに惹かれて 高橋 英夫
言葉で逢う人 竹西 寛子
明治を読む 田勢 康弘
おりふしの岩波文庫 田中 克彦
読書と人の善良さ 中沢 新一
文学を読む喜びが告げるもの 野島 秀勝
古典との会話 藤本 義一
私の巣穴本 増田 れい子
読書と年齢 三浦 雅士
モトをとる 室井 光広
読書は手段だ。何の? 森嶋 通夫
最も苦痛の少ない外国語学習法 米原 万里
増田れい子さんの、巣穴本ていうのは、いいな。自分の巣穴本はなんだろうと想像するとたのしい。久生十蘭カフカは間違いない。増田れい子さんの巣穴本はフィリップ短編集の小さき町にて。読まねばならん。