金曜は、友達が退職するので送別会だった。大学の学科の同級生で、わたしは大学院にいったのでおくれて入社したが、大学のときはさんざん飲んだくれ、大学の付属牧場の泊まり込み実習はいつも同部屋だったし、彼女が胃潰瘍の痛みでのたうっているときには手を握った。いまの会社に十年つとめて、妊娠中も別居婚でがんばっていたが、こどもがうまれて、どうしようもなくなって、転職先も決まったので辞めることにしたらしい。みんなから寄せ書きをわたしたら、ぽろぽろと涙を流していた。こんなときにしっかり泣ける彼女がまぶしい。
- 作者: 吉行淳之介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1971/07
- メディア: 文庫
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「あたしは、まだ何にも知らないんだもの。まだ、いろいろ夢があるのに」
「夢は、結局夢だよ」
「だって、夢が夢だということを、まだ知らないんだもの」
こんなことを吉行淳之介がいったら、みんな夢中になるんだろうな。