まみ めも

つむじまがりといわれます

俵万智のハイテク日記―ALICE IN HI‐TECK LAND

セイちゃんとフクちゃんは、すっかりお相撲にはまってしまって、暇さえあれば、フクちゃんとおすもうする!、セイちゃんおすもうやろう、と、ふたりして取り組んでいる。一月場所のあいだ、毎日家に帰るとフクちゃんが「おすもうは?」ときいてテレビをねだるので、千秋楽を録画しといて、毎日それを見せている。朝、つねより早く目が覚めて、ねむたいのか機嫌が悪くだっこだっこで支度がどうにもならんときにも、相撲さえ見せればちょこなんとソファで大人しくしている。セイちゃんも付き合って何べんもみているので、千秋楽の取組はおおかた覚えてしまったらしく、里山が高安のまげをつかんで反則負けしたのを、気に入ったようで、おかあちゃん高安、セイゾーくん里山、といって、再現したりする。フクちゃんは、保育園でもやおら四股を踏み、塩を撒き、顔をぱんぱん叩いて、お相撲をはじめようとしているらしい。ときどき、脈絡なしに相撲取りの名前を、おーすならし(大砂嵐)は?かいせー(魁聖)は?というのを聞き取れないでとんちんかんな答えをすると怒りを買う。わたしはわたしで、こどもたちの四股名を勝手にかんがえていたりして、セイちゃんなら天晴かな、フクちゃんは福助かな、なんて妄想が止まらない。

ブックオフで105円。そういえば、こないだのブックオフでは早くも108円の値札になっているものがあった。値札を見るたびに煩悩のことが思われる仕組み。でも、わたしは8という数字が好きなので、よしとしたい。ずっとなぞっていたい形。もちろん崎陽軒のひょうちゃんも憎からず思っている。いや、ひょうちゃんに関してはちょっと憎い。
副題はALICE IN HI-TECK LAND、「機械オンチの万智ちゃんがハイテク・ランドに迷い込んだって?」と帯にもあるけれども、なんというか、俵万智はアイドルだったのだなと否応なしに思わされる一冊。万智ちゃんなら、少女マンガの主人公みたいに、朝寝坊してトーストの端っこを齧りながら走るだろうし、学校の手前で転校生とぶつかって恋がはじまったりもするだろう。それはもう天性の資質だと思う。ふと思い出したけれども、旧古河庭園のそばに住んでいたときに、夏、冷やしトマトを齧りながら本郷通りをぶらぶら歩いて大学にいったことがあって、まんまとトマトのたねをずるりと白いTシャツに垂らしてしまい、その日一日、鼻血を出したのかと会う人にことごとくきかれた。わたしにはアリスの資質はない。