にわかに仕事が慌ただしくなってきた。われながらよく分からない意地を発揮して、昼休みはきっかり50分休むことにして、サンドイッチを食べたあとはインスタントコーヒーをいれて本を読むことにしている。こないだは、育休中の同期の女の子が、敷地の入り口まで赤ん坊を連れてきていたので、余りのカレーでつくったカレーパンをいそいで飲み下して会いにでかけた。だっこさせてもらい、赤ん坊特有の甘いようなにおいを鼻にいっぱい吸い込むと、えもいわれぬ幸福感にひたされる。足の指がいっぱいにひらいているのを見るにつけ、生命力がまぶしい。
- 作者: 熊井明子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1995/04
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (2件) を見る