まみ めも

つむじまがりといわれます

冬冬の夏休み

通勤電車で眉村卓ショートショートを読んでウットリ加減になり、ふと顔をあげたら見慣れた会社の建物が間近に通りすぎて、へんな気分がしたが、乗り過ごしたことにすこしあとで気がついた。あわてて次の駅でおりて、乗り過ごしたひと駅ぶんの運賃をはらい、線路沿いの道路を反対にたどって会社についた。はじめて降りる駅は、なじまないせいか無機質で、眉村卓を読んでいたせいもあって、世界が裏返ったみたい気がした。いつもとは違う通りから敷地にはいったらそこはいつも通りの会社で、10分弱の猫町体験はおしまい。

冬冬の夏休み [DVD]

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夏のうちに見ようと思って夏休み前後に図書館から借りてきたが、お盆があけたら日が沈んだあとはもう秋の気配になっている。夏は苦手で、夏の盛りにいるときは辟易するのに、去っていくとなると惜しい。「冬冬の夏休み」は川本三郎の本で知ったと思うが、夏にはたいした思い出もないはずなのに、なんだかとても懐かしい遠い日を思い出すような、ノスタルジーなんて私的なもののはずなのに、どこかでつながるものがあるんだなあ。小学校のプールで泳ぎ足りなくて家の裏の川っぷちで泳いで、いま思うとあぶないのだが、農家が畑から投げ捨てた胡瓜やなすがぷかぷか流れてきて、あのときはなんでもないつもりだったけど、いまでも忘れられないくらいどきどきしたのを、思い出す。