夏が唐突に終わってしまい、秋の始まりの金木犀もあっという間に花が落ちて、百日紅だけが魔法のようにずっと咲いている。夕暮れがどんどん早くなる。
夏休み前にせいちゃんが理科の先生からめだかを何匹かわけてもらい、それはそれは大切に育てている。いくつか卵を産んだけれどなかなか孵らない。
家の本棚からせいちゃんが引っ張り出してきて一緒に読む。
羅生門 / 6
鼻 / 17
芋粥 / 29
手巾 / 58
戯作三昧 / 72
枯野抄 / 115
毛利先生 / 130
蜜柑 / 154
魔術 / 161
杜子春 / 176
トロッコ / 196
報恩記 / 205
仙人 / 234
三つの宝 / 241
白 / 257
子供の病気 / 272
蜃気楼 / 283
解説・東京大学教授 高木卓 / 304
せいちゃんは、魔術、三つの宝、白がよかったという。魔術はいいよねえお母ちゃんも好きだなあと盛り上がったあとで解説を読んだら展開が読めて凡庸というようなことが書いてあってばっさり斬られた。