まみ めも

つむじまがりといわれます

六つの星星

夜、庭の水まきをしていたおかあさんが呼ぶので庭先にでてみたら、庭木に蝉がつかまって脱皮していた。いなか育ちのくせにこの歳まで蝉の羽化をみたことがなかった。ちょうど三匹の蝉がとりついていて、一匹は背中のところがわれてそこからもりもりと中身があらわれているところ、一匹は抜け殻にさかさまにぶらさがって翅をひろげるところ、一匹は翅をひろげて乾かしているところだった。殻からでたばかりの体は乳白色に滴りそうにすきとおって、ちょっと毛穴が粟立つやばさで目が離せない。そのうちに青みがかった翅がだんだんに茶色に染まっていく。汗をじわじわかきながらも体のしんのところが冷めていくような光景だった。よく朝にはぬけ殻だけが残って、庭先で油蝉がしきりに鳴いていた。
きょうは名古屋場所千秋楽。若の里旭天鵬は92年の春場所初土俵の同期だというけれど、23年も続けられるひたむきさがちょっと信じられない。

六つの星星

六つの星星

ブックオフオンラインで108円。

「乳と卵」「ヘヴン」などで知られる作家・川上未映子が、その好奇心と知力を発揮して、永井均ら知の最前線6人と精神分析、生物学、文学、哲学をめぐる対話を交わす。
川上未映子精神分析に勧誘される 斎藤 環
生物と文学のあいだ 福岡 伸一
性の呪縛を越えて 松浦 理英子
世界はコトバで満ちている 穂村 弘
からだ・ことば・はざま 多和田 葉子
哲学対話 1 ニーチェと、ニーチェを超えた問い 永井 均
哲学対話 2 『ヘヴン』をめぐって 永井 均

ふだん使わない部分の頭やことばを使って話が進むので、手の届かないところをストレッチするような感覚。ちょうどがっかり&がっくり期に読んだら、いろんなことをメタし分析する視点にちょこっと救われた。みんな、本を読みながらいろんなことを考えて読みとっていて、ただ読み捨てみごとに忘れていくばかりのじぶんの読書のうすっぺらさを思い知る。川上未映子が「言葉にするのがほとんど厭で、仕方なくこの形を取ってる」といってて、なるほどなあ、その厭さのおかげで、ことばの感覚がとぎすまされるのだろうなあ。乳と卵も、ヘヴンも、読み直してから、この綺羅星対談にも一度出会いたい。