まみ めも

つむじまがりといわれます

市場の朝ごはん

仕事が休みに入ってから朝の連続テレビ小説を見るのが日課。「あさが来た」がいよいよおもしろくなってきた。朝には見ないで、夕方、ごはんの支度をひと段落させてから録画したのを再生するときのいそいそした気持ちったらない。ことばもよくて、風吹ジュンの「おまえさま」、玉木宏の「あんた」という二人称にもしびれるし(惣兵衛さんの「厄病神はおまえや」のおまえにはびびった)、へぇ、という受け答えもかわいらしい。セイちゃんのときはゲゲゲ、フクちゃんのときは梅ちゃんだったけれど、一番はまっていると思う。

市場の朝ごはん (小学館文庫)

市場の朝ごはん (小学館文庫)

108円のブ本。村松友視も、ブックオフの均一棚で見かけると買ってしまう作家のひとり。

小樽の三角市場の毛ガニ、青森の迷路市場のジャッパ汁、滑川漁港のほたるいか八幡浜の鯛めし、那覇のゆしどうふ……と、生つばを飲みこむような日本の市場巡り。旅の達人、村上友視に案内されて北から南へ旅を愉しむうちに、市場に生きる人たちの人生の断面が鮮やかに浮かびあがってくる。エネルギーに満ちた市場が寂しくなるのを惜しみつつ、そこに働く人々を見つめる村松さんのまなざしは、時にやさしく、時に淡いユーモアをにじませる。おとなの味を求める新しい食紀行文集。(「解説」宇田川悟)
1章 百万石の釜炊きごはん(金沢近江町市場)
2章 関門海峡冬景色(下関唐戸市場)
3章 小樽よ今度も有難う(小樽鱗友市場・三角市場)
4章 日本海の寒風に晒されるの巻(新潟本町市場)
5章 迷路市場で味わうジャッパ汁(青森駅前市場)
6章 哀切のほたるいか幻想(富山県滑川漁港)
7章 三陸の贅、橋の上の焼きウニ塩ウニ(釜石橋上市場
8章 尾道にさぐる“おいなりさん”の謎(尾道三品総合市場)
9章 白イカと妖しい幻想を求めて(境港市場)
10章 守礼の国の名物「ゆしどうふ」(那覇牧志公設市場
11章 鯛めしのスタイルを満喫する旅(八幡浜魚市場)
あとがきのような終章

旅情だけじゃなくて、ノスタルジーの感じにとらわれるのは、場所だけではなく時代を切り取っているせいかもしれない。食堂や喫茶店の品書きの品物と価格をただ羅列するだけの文章にもグッとくる。釜石の橋上市場は、フィレンツェのポンテ・ヴェッキオを真似してつくられた市場だとかで、写真を見たら行きたくてたまらなくなったが、もうなくなってしまっているらしくて本当に残念。今度、市場にいくことがあったら、村松友視みたいに、食堂でごはんを食べて、喫茶店で食後のコーヒーを飲み、品書きをちゃんとメモっておきたい。