土曜のひる前、3ヶ月ぶりに髪を切りにいく。雨の中、なんとなく春先はスピッツの気分で、新しい季節のアンニュイを歌う古い歌をききながら歩く。もう何百回きいたかわからないけど、やっぱり青いころに回帰する歌声。いつもの店で髪をざくざく切ってもらい、さっぱりした。帰りがけに隣の古本屋の店先をのぞいたけれど、雨だったのもあって、選ばずに帰ってきた。このごろはあまり物を増やしたくないので本をあまり買わない。ときどきブックオフに何冊かもっていき、二束三文で買ってもらう。それなのに本棚は相変わらずスペースが足りない。
- 作者: いしいしんじ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/01/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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おはなしの時間が、はじまる。成長する子どもの時間、老いゆくお年寄りの時間、旅する時間、イヌが感じる時間など、生きもののように伸び縮みする「時間=よはひ」をテーマにした27編。『すばる』掲載を加筆・修正。
二歳五ケ月のピッピ
六十二歳の写真家
十八歳のきのこ
五百歳の音楽
九十二歳のイースト菌
十九歳のパチ
三千三百ページのノート
六十過ぎの風景画家
さまざまな年のサンタクロース
小学四年の慎二
八十過ぎのメルセデス
千二百年生きる馬
三千年生きる
〇歳の旅人
三歳七ケ月のピッピ
ヤンバルのオオオオオジー
五十四歳のダラズ
四歳のピーコートのボタン
五十万年の砂丘
ひと冬のすっぽん
二〇一五年一月の文楽
旅する香りちゃん
犬はどこへいくん?
賞味期限とユン
四歳七ケ月のピッピ
四歳九ケ月のおとうさん
五歳のピッピ、おはなしのピッピ
みんなそれぞれに同じ瞬間にいたとしても時間の流れはひとつではなくて、その尊さにあふれる本だった。いしいしんじのおはなしには、どこかしらホラ話めいたところがあって、その壮大なうそがなんとなく本当のような気がしてきらめく。信じたい気持ちで、おはなしはますますドライブする。