金曜の朝、乗り換え駅の売店で崎陽軒のシウマイ弁当を買った。手に持ったときにじわっとあったかくて不意をつかれた。どっきりうれしい。行き先はいつもの会社。電車の中でひざの上にぬくもりのある弁当をのせたら、シウマイのにおいが漂ってきて、早くもお腹がすいて前のめりになってしまうのを楽しみながら、かばんの中から「『食の軍師』戦場グルメガイド」のシウマイ弁当のページをひらいて予習をしておく。昼休み、いそいそと包みをひらく。小さめのシウマイ五つ、横一列に並びきれない姿がかわいらしくおでまし。から揚げ、ぶりのつけ焼き、卵、たんぱく質のオンパレード、どんとこいの気分でむしむしと食べる。フィニッシュは金メダルのあんずでキメた。満足。食後にインスタントコーヒーをマグカップにたっぷり作って飲んだ。
- 作者: 庄野潤三
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/09
- メディア: 単行本
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多摩丘陵の家から坂道を下りて散歩を楽しむ。10年前の入院していたころを思えば、こうして歩けるのは何という仕合せであろう。妻と2人の暮しに、おだやかなよろこびを見出し、家族を想い、故郷を懐しむ。最新エッセイ集。
表紙の中にガクアジサイとホンアジサイが咲いてちょうちょが舞っている。恥ずかしながら、あじさいにいろんな種類があることを最近まで知らなかった。遊歩道に咲くあじさいにも、いろんな形や色があって、それぞれに集まって咲いているのがいじらしい。
相変わらずの庄野潤三ぶりだけれど、「森亮さんの訳詩集」にあげられている白居易の詩がことごとくいい。中からいま時季のをひとつ挙げておく。
池の畔に忍びよる夏
水かさがじりじり増すにつれて池の堤の春は終り、
濃い陰を交錯させて夏木立ちが腕をひろげる。
誰も乗らない小舟は田舎の渡し場を思わせ、
かなたの籬のたたずまいは水辺の村に見立ててもいい。
ふじづるの寝台の塵を静かに払うことも、
くんと匂う酒庫のとびらをひらくことも、
それがその日の出来事に数えられるほどに
わたしのひと日ひと日は暇ですることが無い。
時どき幼くて可愛い孫をからかってみる。
これを読んで、白居易の詩に孫が登場してほっとしている庄野潤三もいい。それにしても、ハクキョイのことは、どうしたってハッキョイハッキョイと読んでしまって、いけない。